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罪喰らいの聖女  作者: ジータ
第二章 最強聖女と偽りの聖女
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第5話 帝都での再会

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 レインは贖罪教本部を出た後、ユースティアに言われた通り買い物へとやってきていた。

 いくつかの店を回ったハルトはすでに両手いっぱいの荷物を抱えるほど買い物をしていた。別に特別な物を買ったわけではない。買ったのは日用品ばかりだ。


「はぁ、さすがに一回家に置きに行かないとダメか。これ以上は持てそうにないし。こういう時手伝ってくれる人欲しいよなー。まぁ、もっとこまめに買い物していたらそんな心配する必要もないんだろうけど」


 ユースティアは忙しく、それについて回るレインも比例して忙しいことになる。買い物に行ける時間がなかなか取れないのだ。なら他の者に買い物に行かせればいいと言われるかもしれないが、ユースティアは自分の使う物を他の人に買われることを嫌がる。ゆえにレインが買い物に行くしかないのだ。なぜレインならば大丈夫なのかと言えば、レインは私のモノだから私が買い物しているのと変わらないという謎理論ゆえだ。

 荷物を置きに一度家に戻ることを決めたレインが歩いていると、不意に後ろから肩を叩かれる。


「ん? って、フウカ!?」

「あ、やっぱりレイン君だ! もし違うかったらどうしようかと思っちゃった」


 後ろにいたのはフウカ・ミソギ。レインのかつての幼なじみだった。レインの住んでいた村が魔人に襲われた際亡くなったものだと思っていたのだが、つい先日ナミルで再会を果たしたのだ。それ以降会っていなかったので少し気にかかってはいたのだが、まさか帝都で再会するとは思っておらず驚きを隠せなかった。


「なんで帝都に……」

「なんでって、前に会った時言ったこと覚えてない? 私ナミルでの任務が終わったら帝都に移住するって言ったと思うんだけど」

「えーと……悪い、覚えてない。あの時はその、フウカが生きてたって事実が衝撃的すぎて」

「もう……まぁそんなことだろうと思ったけど。結局帝都に来たのは三日前だけどね。色々時間かかっちゃった」

「そうだったのか」

「そうだったのか、なんて簡単に言うけどレイン君達のせいなんだからね」

「はい? なんで俺が関係あるんだよ」

「ナミルでの一件。私達断罪教も魔物の被害件数増加から魔人がいるかもって疑って私達が派遣されたの。ナミルと、他の二か所にもね。で、結果として魔人はいたけど手柄はほとんど贖罪教に持っていかれたわけでしょ。そのことが原因で断罪教の上の人から怒られて怒られて」

「あぁ……なるほどな」


 今回の一連の事件。ナミル以外の二か所も全て贖罪教が解決した形だ。各社新聞もそのようにして記事を書いている。そこに断罪官の文字はない。

 贖罪教と断罪教が対立する立場にある以上、そういったいざこざはどうしても避けられないのだ。


「特にダレンさんがユースティア様に負けちゃったのが最悪で……お互い本気じゃなかった、なんて言い訳にもならないから。ダレンさん本人はあんまり気にしてないみたいだけど、結構色んなこと言われたし。手柄立てるまで戻って来るなー、みたいな感じでね。大変だったんだよ」

「えっと……なんか悪いな」

「その謝罪は上からの余裕にしか聞こえないよー」

「じゃあどう言えばいいんだよっ!」

「あはは、ごめんごめん。半分冗談だから」

「半分冗談って……逆に半分は本気なのかよ」

「別に本気でレイン君達のせいだと思ってるわけじゃないけど、それくらい大変だったってこと。それで今日は引っ越しも落ち着いたから用事ついでに買い物でもしようかなって思ったの」

「なるほどな。家、この辺なのか?」

「うん。そうだよ」

「じゃあ結構近いな」

「ハルト君ものこの近くに住んでるの?」

「あぁ。っていっても、俺の家ってわけじゃなくてユースティア様の家だけどな」


「まぁ従者だからな。近くにいないといけないし」

「そ、そうなんだ……」

「それがどうかしたのか?」


 レインがユースティアと一緒に住んでいるということを伝えた途端にフウカの表情が曇る。そのことを不思議に思ったレインが問いかけると、フウカは少しだけ逡巡した後に口を開く。


「……レイン君にこんなこと言うのは良くないっていうのはわかってるんだけど。私……ユースティア様のことちょっと苦手かなって」

「そうなのか」

「う、うん……怒らないの?」

「怒るって、なんで俺が怒るんだよ」

「その……ユースティア様って一応レイン君の主なわけでしょ? その人のことを苦手って言っちゃうのはどうなのかなぁって思って」

「うーん、まぁ人の好き嫌いなんてそれぞれだしな。俺が口出すようなことでもないだろ。まぁ、フウカがなんでユースティア様のこと苦手なのかはちょっと気になるけど」


 フウカはレインとは違って表のユースティアのことしか知らないはずなのだ。それなのにユースティアのことが苦手だという人はなかなかいない。もちろんユースティアも人である以上、全ての人から好かれるなど不可能なのだが。


「私はユースティア様みたいに真っ直ぐで高潔な人間じゃないから。それに——」


 以前ナミルでユースティアに直接会った時に感じたこと。それはユースティアからの微かな敵意。レインの隣は譲らないという言葉にせずとも伝わる意思だ。初対面でそんな敵意を向けられれば苦手意識を抱いても仕方がないだろう。


「それに?」

「……ううん。なんでもない。それよりずいぶん大荷物だね」

「あぁ。ほとんど日用品だけどな。忙しくて買いに行く時間が無いから買える時に一気に買っとくんだ」

「やっぱり聖女様の従者って忙しいの?」

「あぁ。そもそもユースティア様自身が忙しいからな。必然的に俺も忙しくなるんだ。前にナミルに行ったみたいに出張も多いし」

「それなら家の使用人に買い出しを任せればいいのに。ナミルにいたフェリアル様なんかいっぱい使用人雇ってたみたいだしね。ユースティア様のところにも使用人いるんでしょ? その人達に買い物任せないの?」

「いやまぁ、その辺も色々と事情があってな。俺が買い出しに行くしかないんだ」

「ふーん、そうなんだ。大変だね。やっぱり断罪教に来た方がいいんじゃない? 休みも週休二日で貰えるよ?」

「隙あらば勧誘してくるなよ……俺は断罪教には行けないから」

「残念。まぁでもこっちはいつでも受け入れ歓迎だよ。レイン君なら特にね」


 口で言うほどには残念そうには見えないフウカ。その屈託のない笑顔を見ているとレインの胸がずきりと痛む。今のレインはフウカにとって憎い存在である魔人に近い存在になってしまった。もちろんそのことをフウカに伝えるつもりはない。それでも想像してしまうのだ。もしフウカがこの事実を知れば、きっとレインに笑顔を向けてくれることはなくなるだろうと。

 現状、レインが完全に人に戻る手段はない。この先レインが生きていく上で、『魔人化』は一生抱えて生きていかなければならない秘密なのだ。


「私はこの後ちょっと出かける用事あるんだけどさ、レイン君は?」

「俺はこの荷物一回置きに帰ったら買い物の続きだな。まだまだ買わないといけないものがあるんだ」

「えぇ!? そんなに買ってるのにまだあるの?」

「あぁ。仕事用の道具とかもいくつか買わないといけないからな」

「大変だねぇ。それじゃあ今日はここまでかな。また会えて嬉しかったよ」

「俺もだよ。でもまぁ、案外近くに住んでるみたいだし、またすぐ会うことになりそうだな」

「ふふ、そうだね。それじゃあレイン君、またね」

「おう、またな」


 軽く別れの挨拶を交わし、離れていくフウカのことをレインは見送る。


「それにしても、まさかフウカが近くに住むことになるとはな……わからんもんだ」


 亡くなったと思っていた幼なじみ。それがナミルで再会を果たし、そして今度は帝都でレインの近くに住むという。あまりに出来過ぎた、嘘のような現実だ。思わずセンチメンタルになりそうな気持ちを押し込めるレイン。


「さ、それじゃあ俺も早く荷物置いて買い物に戻らないとな。ティアを待たせると後でひどい目に遭う」


 ユースティアを怒らせることほど怖いことは無いと、レインは足早にその場を立ち去るのだった。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!


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