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罪喰らいの聖女  作者: ジータ
最強聖女と従者の秘密
37/212

エピローグ 平穏な時間

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 ハルバルト帝国、ガバライト州の東に位置するナミル。

 そこで起きた魔人事件から一週間が経ち、その噂は帝国全土へと広がっていた。領主であるリエラルトが魔人に強力したという話と共に。そしてそれはナミルだけでなく、フェリアルとカルラが向かったドリオンとラリールでも同様だった。三か所同時に魔人が現れるという緊急事態に帝国民の不安感情が一時的に高まる事態となった。自分達の住む場所にも魔人が潜んでいるのではないかと。

 しかしそこでも役に立ったのは聖女の名だ。ユースティア達の活躍により魔人は速やかに処理されたと。皇帝は大々的に発表した。それにより帝国民の不安感情をある程度取り除くことに成功はしたが、潜在的に植え付けられた恐怖までは完全になくなることはなかった。

 ナミルでは帝都から一時的に別の領主が派遣され、リエラルトの娘であるロイナは父のしでかしたことを償うためその領運営の手伝いをしていた。

 いつまでも帝都を空けるわけにはいかないユースティアとレインは、カラとフォールを置いて一足先に帝都へと戻っていた。


「あの爺め。人の名前をいいように使いやがって」

「お前なぁ。皇帝陛下のことを爺とか呼ぶなよ」

「爺だろ。いつまでも帝位にしがみついて。いい加減後継に任せろって話だ」

「どこで誰が聞いてるかもわからないんだから、あんまり変なこと言うなよ……」

「ふん、私の家の【防音魔法】は完璧だ。侵入者対策もしてある。鼠どころか虫一匹だって侵入できるか」

「どこに力使ってんだよお前は……」

「とにかく、私は私の名前を利用されるのが嫌いなんだ。今度会ったら文句言ってやる」

「皇帝陛下にそこまで強気でいられるのはお前くらいだよ、ホントに」


 ユースティアは手に持っていた帝都新聞を放り投げると、苛立たし気に立ちあがる。


「もうすぐフェリアル達が来るんだろ。出迎えの準備はできてるのか?」

「あぁ。それは問題ない。十二時頃って言ってたからもうそろそろ来ると思うけど」


 その時だった。ユースティアの家のチャイムが来客を知らせる。


「噂をすればか。レイン。行くぞ」


 ユースティアとレインが出迎えると、そこにはフェリアルとカルラが立っていた。やっほー、と手を振るフェリアルと相変わらず無表情なままのカルラ。二人を連れて客室へと向かう。


「相変わらずだけど、使用人雇わないんだねーティアは」

「人が多いのはあまり好きじゃないですから」

「それでもこれだけ大きい家だと掃除とか大変じゃない?」

「そこは頼んでいる方もいるので」

「ご飯とかどうしてるの?」

「それも頼んでいる方がいますよ。常駐ではないですけど」

「それじゃあ、この家にはユースティアとレインしかいないの?」

「えぇ、そういうことになりますね」

「……不純」

「なんでそうなるんですか!」


 フェリアルがボソッと呟いた一言にユースティアが激しく反応する。しかしフェリアルはニヤニヤとしているだけだ。


「不純なの?」

「カルラまで……違いますから! レインもなんとか言ってください!」

「なんとかって言われても、今部屋に戻ったばっかりだから状況がわからないんだが」


 飲み物を持って部屋に戻ってくるなり急に話に巻き込まれたレインは状況が全く呑み込めずにいた。


「今はねー、ティアとレイン君の二人暮らしは不純じゃないかって話してたの」

「なんでそんな話が出るんですか!」

「だってさぁ、ティアがこの家に住んでるの二人だけだなんていうから。うら若き男女が一つ屋根の下で生活してるなんて……不純以外の何ものでもないよ!」

「よくわからないこと力説しないでください!」

「じゃあ逆に聞くけど……本当に不純なことは何もないの?」

「そんなことあるわけな——」


 その時、レインの脳裏を過ったのはお風呂のことだ。レインはユースティアの入浴を手伝うことがある。その時に不純な気持ちを一切抱くことなくできているかと問われればそれは否と答えるしかない。

 しかしそんなことを言えるはずもなく。レインは慌てて否定の言葉を口にする。


「あるわけないじゃないですか!」

「今答えるまでに一瞬間があったよね」

「あった」


 その間をフェリアルとカルラが見逃してくれるはずもなく。キランとフェリアルの目が輝く。


「そっかそっかぁ。ティアもやることやってたんだねー」

「変な誤解しないでください! もう、レインのせいですよ」

「なんで俺のせいになるんだよ!」

「いいじゃん別に。聖女だって人間なんだし。ましてやレイン君は性欲高ぶりまくりの十代。むしろティアみたいな可愛いこと居て反応しないなんてことあり得ないよね。私としては二人がどんなプレイをしてるか気になる所だねぇ」

「だから違うって……もう、もうっ!」

「あはは、ティアが怒った!」

「ねぇレイン」

「なんだ?」

「本当にユースティアとは何もないの?」

「何もないって。ホントに何もしてないから」

「……わかった。それならレインを信じる。もしレインが不純なことしてたら」

「してたら?」

「私にも同じことしてもらう所だった」

「なんでそうなるんだよ!」

「ユースティアにしたことは全部私にもしてもらう」

「その対抗心はどこから湧いて来るんだよ……」


 それからしばらくフェリアルに追及され続けたユースティアとレインは、本題に入る前にぐったりとしてしまうのだった。





□■□■□■□■□■□■□■□■□



「んふふー、いやぁ楽しかったな。色々面白い話聞けて満足満足。で、私達ここに何しにきたんだっけ」

「本題を忘れないでください!」

「あはは! 冗談だってば。さすがにそこは忘れないから」

「ならいいですけど……」

「とりあえず今回の一件についての簡単な報告だけね。結局のところ、アタシ達三人とも魔人と会ったわけだけど……さすがにちょっとおかしいよね」

「ん。今回の魔人は明らかに目的を持って行動してた」

「そうですね。妙な道具も持ってましたし」

「確かに。私達は攻撃ついでに壊しちゃったけど、ティアは回収できたんだ」

「はい。これです」

「あ、アタシが見たのと同じやつ」

「ん、私も」

「同じものが使われていたと考えて良さそうですね」

「そのせいで見つけるのも大変で。まぁ魔人自体は大した強さじゃなかったから、見つけた後は楽だったけど」

「弱かった」

「それについては私も同感です」


 今回出会った魔人について、弱かったという総評を下すユースティア達にレインは内心で呆れる。レインからすれば圧倒的力を持った魔人も、ユースティア達からすれば弱い存在なのだ。


「問題はねー、こいういうのを作る。作れる奴がいるってことだよね」

「持ち帰って簡単に調べてみましたが、私では理解できないレベルの魔術回路が組み込まれていました。詳しい調査はルーナルに任せるつもりです」

「大陸東側の事情は知らないけど、今回の魔人もそっちから来たっぽいよね」

「えぇ。結界が破られたという話は聞いてないので。おそらくまたどこかに綻びができたんでしょう」

「また巫女さんに頼んで直してもらわないとね。さすがに1000年級の結界だから綻びもでちゃうか」

「これ以上魔人の侵入が増えだしたら面倒なことになる」

「今まで以上に目を光らせるしかないですね」

「……めんどくさい」

「それも聖女の務めです。面倒は禁句ですよ」

「使用人をもっと働かせる。決めた」

「どんなブラック職場ですか……あなたもちゃんと働いてくださいよ」

「……善処する」

「それしないやつじゃないですか」

「まぁまぁ、とにかくさ。今後もしかしたらこういう道具を使う魔人が増えるかもしれないから注意しましょうってことだけ皆に伝えとこうか」

「そうですね。それがいいと思います」

「こっちも何か対策考えないとね。【悪魔(イービル)(アイ)】に頼り切りってわけにはいかなくなりそうだし。二人とも今回は本当にありがとね。ティアとカルラに頼んで良かったよ」

「聖女として当たり前の務めですから」

「問題ない」

「もし私達に任せず他の贖罪官を送っていたらもっと被害が拡大するだけでしたから」

「いやー、やっぱり? アタシってそういう勘鋭いからさ。もっと褒めてくれていいよ!」

「そこで調子に乗らなければもっといいんですけどね。でも私は逆に謝らないといけませんね。あなたの所の贖罪官を……カラさんとフォール君に怪我をさせてしまいました。すみません」

「あぁ。あの新人君達ね。謝らなくていいよ。でもあの二人にはいい経験になったと思う。フォールの方なんか帰って来てから今まで以上に訓練に励んでるし。カラもまだ激しい運動はできないけど、早く復帰できるようにって頑張ってるよ。二人ともティアとレイン君に感謝してた」

「そうですか……なら良かったです」

「それと、カラが連れてきたユミィって子。カラみたいな贖罪官になるんだって。毎日こっちに来てるよ」

「ふふ、そうなんですね」


 身寄りを失ったユミィはナミルを離れ、カラと共に戻って来ていた。今は孤児院の世話になっている。


「ま、贖罪官になれるかどうかはこれからの頑張り次第だけどね。そんなに甘い道でもないし」

「そうですね。でもあの子ならきっと大丈夫でしょう。私はそう信じてます」

「ねぇ、盛り上がってるところ悪いんだけど、私お腹空いた」


 そう言って小さくくぅ、お腹を鳴らすカルラ。確かに時刻は十二時過ぎでご飯を食べるには最適な時間になっていた。


「ふふ、そうですね。お昼は用意してあります。食べましょうか」

「お、いいねー。アタシもお腹空いてたから楽しみー!」

「それじゃあレイン。用意してくれますか」

「あぁ。わかった」

「それじゃあレイン君が用意しててる間にー、さっきの話の続きしよっか!」

「また蒸し返すつもりですか!? 満足したって言ってたじゃないですか!」

「ごめんねティア。アタシは欲深い女なのさ!」

「にじり寄らないでください!」

「私も気になる」

「カルラまで!?」


 再び騒ぎ始めた三人を見てレインはフッと小さく笑う。

 解決していないことは多い。ナミルもまだ完全に落ち着いたわけではなく、魔道具の謎も解けていない。不穏な魔人の動きもある。それでもこの平和な時間が少しでも長く続きますように、とレインは心の中で願うのだった。


今回で第一章は終了です!

また少ししてから第二章を開始したいと思います!

その前にキャラまとめ作らないとですけどね。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!

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