第24話 《紅蓮・双牙》
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《紅蓮・双牙》。レインがユースティアから与えられたレイン専用の武器だ。発明家ルーナルの作品で、真紅の銃身が特徴的な魔銃だ。普通の銃とは作りから違うのだ。ルーナル自身も至高の一品と豪語するほどの出来。レインからしても文句の付け所の無い性能を誇っていた。
「レインさん、そ、それは……」
「これが俺の本命武器だ。こっからはもう遠慮なしだ。全力で行く」
先ほどと同様にレイン達が油断する瞬間を待っているのか、グラトニーシャドウは全く姿を現さない。しかしレインはそれを気にすることなく銃を構える。
「フォール下がってろ。そいつが影に隠れ続けるなら、それごと喰らい尽くすだけだ——第三弾【嫉妬】!」
レインが壁に向かって銃弾を放つと、その銃弾はまっすぐには進まず何かを探すようにグネグネと動き続ける。
「【嫉妬】の弾丸は魔物を見つけることもできる弾丸。影に隠れてようが、どこに隠れてようが関係ない。この弾丸から逃げきれると思うなよ!」
やがて弾丸が一か所をめがけて飛んでいく。弾丸が壁に着弾する直前、逃げ出すように陰からグラトニーシャドウが飛び出してくる。その隙をレインは見逃さなかった。
「出てきたな。もう逃がさねぇ——第六弾【暴食】!」
「ッ!!」
壁から逃げ出してきたグラトニーシャドウに向けて再びレインは弾丸を放つ。放たれた弾丸【暴食】はグラトニーシャドウの目前で巨大化し、喰らいつく。避ける間もない速さになすすべもなくグラトニーシャドウは弾丸に喰い尽くされた。
「まだいるな。逃がさねぇぞ!」
再び【嫉妬】の弾丸を放つレイン。その弾丸は先ほどと同様、影の中に隠れていたグラトニーシャドウの姿をあぶりだす。そうして避け切れずに出てきたところを【暴食】で喰らう。その繰り返しでレインはあっという間に周囲に隠れていた八体のグラトニーシャドウを全て倒しきった。
「もう反応無しか……これで全部だな」
「す、すごい……すごいですレインさん! こんな一瞬で魔物を何体も倒してしまうなんて!」
「すごいのは俺じゃなくてこの銃だよ」
「その銃……見たことないですね。何なんですかそれ」
「市販されてるものじゃないからな。発明家ルーナルって知ってるか?」
「ルーナル……聞いたことがあります。天才だけど、気に入った人にしか作った発明品を売らない。変人発明家だって……そんな噂を。もしかしてそれ、ルーナルの作品なんですかっ!?」
「おい、だから大きい声を出すなって。そうだよ。これはルーナルさんの作品だ。ユースティア様と仲が良くてな。その縁で俺にも武器を作ってくれた」
「すごいじゃないですか! まさかあのルーナルの作った作品を見られるなんて……」
「好きなのか?」
「はいっ! 発明家ルーナルの作る作品はどれも個性的で、使い手を選ぶっていうか……でもだからこそ俺、すげぇ魅力を感じるんです!」
「なるほどな。まぁ確かにあの人の作るもんは個性的っていうかピーキーっていうか……しかしファンなのか。あの人が一部で人気なのは知ってたけど、こんな身近にファンがいたとはな」
「オレも驚きました。まさかユースティア様がルーナルと懇意にしているなんて」
「懇意っていうか……まぁそうだな。とにかく、この魔銃と弾丸が俺の武器だ。剣は折られたからこれからはこれで行く」
「はい、わかりました。でもどうして最初から使わなかったんですか? そんなに強い銃なら最初から使ってれば……」
「お前の言うことも最もだけどな、弾丸には限りもある。銃だけじゃなくて弾丸も特別性だから数に余裕もない。使わずに済むならそれが一番だったんだよ。まぁ、こんな状況になったら使わないわけにもいかないけどな。まぁそういうわけで無駄撃ちもできない。できるだけ節約していくぞ」
「は、はい。わかりました」
レインは先ほどと同じように周囲を警戒しながら、自身の持つ弾丸の残数を確認していた。
(【怠惰】と【傲慢】は四発ずつ。【色欲】と【強欲】は二発ずつ。【憤怒】は一発しかないか……【嫉妬】と【暴食】はまだ弾数に余裕があるから、こいつらを中心に立ち回っていくしかないな。使いどころはちゃんと考えないと)
レインが《紅蓮・双牙》を使う際に使う弾丸は普通の弾丸ではない。レインの使う魔銃と同じく、ルーナルの発明品だった。【罪弾】と呼ばれるその弾丸は作り方のせいもあって大量生産ができない。だからこそ無駄撃ちはできなかった。
「俺の弾丸が尽きるのが先か、ここから逃げ出せるのが先か。どっちにしてもやることは変わらないか」
「レインさんっ! 正面から魔物です!」
「おう!」
フォールからの警告を聞いて、レインは考えることを辞めて戦闘態勢に入る。レイン達の正面、そして背後から現れる魔物達。先ほど戦ったグラトニーシャドウではなく、全く別種の魔物がそこにはいた。
「ふぅ、結構な数だな。本気だしてきやがったか? でも俺がやることは何も変わらない。行くぞっ!」
「はいっ!」
そしてレインとフォールは、魔物へと戦いを挑むのだった。
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「ん……ここは……あ! ユミィちゃん、レイン先輩、フォール!」
意識を失っていたカラがだったが、ユミィ達のことを思い出して慌てて起き上がる。しかしそこにいたのはユミィただ一人。レインとフォールの姿を見つけることはできなかった。
「どこだろうここ。どこかの建物の中? ずいぶんと豪華な部屋だし」
目を覚まさないユミィから意識を離さず、カラはできる範囲で部屋の中を捜索する。部屋はとてつもなく広かった。何が出てきてもいいようにカラは警戒だけは緩めない。
やがて部屋の中を全て散策し終わった後、カラ再びユミィのいた場所へと戻る。
「うん、やっぱり怪我はしてないみたいだ。良かった」
「ん……カ……ラ?」
「っ! そう、カラよ。大丈夫ユミィちゃん。どこか痛い所とかない?」
「だ、大丈夫。どこも痛くないよ」
「そう……良かった。立てる?」
「うん……」
「よし、それじゃあこの部屋の中には何もないみたいだし、早くここを出て次の部屋に——」
カラがユミィの手を引いて部屋を後にしようとしたその時だった。影の中から魔物が一体現れる。その大きさは虎と同じか、それを超えるほどの大きさだ。
「なるほど……そう簡単には行かしてくれないってわけね。ユミィちゃん、後ろに下がってて。私が絶対にユミィちゃんのことを守るから」
「う、うんっ」
ユミィが後ろに下がったのを確認して、カラは持っていた剣を抜く。そして一度だけ目を閉じて、深呼吸をした。
「すぅ……ふぅ。良し、行くよ。どんな手段を使ってでも勝ってみせる!」
「グルアァアアアアアアッッ!!」
「っ!」
そんなカラの叫び声を理解したわけではないだろうが、虎型の魔物であるグラトニータイガーはユースティアめがけて襲いかかって来る。
「っ! くぅっ!」
グラトニータイガーの突進を横に飛び跳ねることで回避したカラはそのままの勢いを利用して返す形でグラトニータイガーを斬りつける。
「っ! よし、手ごたえはあった!」
「グルルゥ……ラァアアアアアアアアッッ!!」
カラに傷つけられたことに怒り狂ったグラトニーシャドウが先ほどよりも大きな声で吠える。
「行ける。できる。戦える。私だって……私は贖罪官だもの。ユミィちゃんのことは命に代えても守ってみせる!」
硬い決意を込めて剣を構えるカラ。その命懸けの戦いが今、始まりを告げた。
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