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【SF】異世界開拓団 ~ 人類創生から始める異世界生活  作者: えどまき
第二章 始祖期 ~ 異世界に神サマなんていません。ただし……
27/48

2:01 Prologue

司令官日誌(コマンダーズ・ログ) アルフレッド・フォレスト

西暦  Feb.08.20xx

新界暦 000.636.03.19


 生体素材(バイオマテリアル)ドローン『ホムンクルス』による環境運用試験を開始してから、およそ五ヶ月が経過した。あと一ヶ月、大きな問題がなければ試験は終了となる。


 これまで我々は試行錯誤を繰り返しながら、新人類を迎えるための準備を重ねてきたのだが、造りあげてきたものが本当に実用に耐えられるかは確証がなかった。

 そこで、ほぼ生身の人体と同等のホムンクルスで実際に生活を体験してもらうことで、不足している部分をチェックすることとなった。

 人柱―――もとい、テスターとなったミス・サトウらには大変な苦痛と不便を強いることになってしまったが、おかげで従来の機械式ドローンだけでは見えにくかった問題点も発見することができた。

 ホムンクルスについては、その名称や倫理的な面まで含めて反発する声もあったが、製作した価値はあったと言える。

 明らかになった問題のうち、よりクリティカルな部分を中心に対策を行った。新人類が生存していくのに最低限必要な環境は整ったのではないかと思われる。


 これでようやく次のステップであり、本来の目的である新人類の合成と育成に着手できる。

 欲を言えば、最低でも一年はホムンクルスによる試験運用を行いたいところではあった。特に、夏場の環境でどうなるかが気がかりである。

 しかし、別な問題が持ち上がったために、半年という短い期間で区切らざるを得なかった。



 開拓をスタートしてもうじき五年が経過しようとしている。地球ではまだ半年たっていないが、もうすでに定時連絡に応える声もなくなって久しい。当然ながら、地球からの技術指導など望むべくもない。 

 まったく何もない状態からのスタートであったため、いきなり新人類合成に着手するわけにはいかず、これまでずっと準備段階として環境造りに専念してきた。

 傍から見ればほとんど足踏み状態だったかもしれないが、絶対に欠くことのできない必要なステップだった。

 しかしそれは結果として、団員にとって己の役割の意義を見失わせやすくするものでもあった。


 ――『始まりの村(インシピット)』での都市機能の整備は進んでいる。だが、そこで動くものといえば機械(ドローン)のみで、未だに生きた人間が歩く姿を見ることは出来ていない。

 ――ノウハウ習得のために、農作物が試験的に育てられ収穫され、そのほとんどは消費されることなく廃棄される。一部は種子や株を品種改良のために残してはいるが、多くはない。また、品種改良の方向性も収穫量や成分などの数字でしか判断できず、味はもちろん品質についても不明なままだ。

 ――繊維を合成する工程が確立され、さらに糸、生地、服へと加工されて、しかし着る者もないままに倉庫に保管されている。


 物を造っても使う者がおらず、評価はされないという状態が長いこと続いていた。

 自分たちは何のためにこれを作っているのか。理屈ではわかっていても、目に見える成果がなければ疑問に思ってしまうのは仕方のないことではあろう。

 団員の意欲の減退、士気の低下、規律の緩みは、ここ最近の作業効率などにも数字として影響が現れていた。一部には作業を自主的に休止して、宗教的な思索にふけっている者達までいる。


 非常に対処の難しい問題だった。

 仮想体となってはいても、我々は論理(ロジック)だけで動く純粋な機械ではない。我々はヴァルカン人にはなれない。自分たちの努力による進捗を実感し、目的意識(モチベーション)を維持・向上させるための明確な成果が必要なのだ。

 新人類の合成はその意味でも有効であろう。多少、本末転倒気味なのは否めないが。


 いずれにせよ、ようやく長い冬を終えることとなる。春の到来が待ち遠しい。





Day 1,816


NEWHORZ POPULATION: 0


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