9、衣替え
短い夏を精一杯に満喫した夏服をしまい、厚ぼったい冬服に袖を通す。
夏の浮かれた気分から離れ冬服に衣替えすると、なんだか大人へと一歩進んだ気がするのは、ボクだけなのかな。
秋風が、自転車をこぐボクの火照った頬を撫でる。
野乃花「センセ……。」
先生「なんだろうか、ノノ君。」
野乃花「ボクはヤキベンにマヨネーズと七味をかけたら、無敗だと思うのです。」
先生「うむ……、そうかもしれんなぁ。」
野乃花「センセ……。」
先生「なんだろうか、ノノ君。」
野乃花「ボクはヤキベンのポテンシャルを最大限に発揮できるのは、この秋という時期だと思うのです。」
先生「うむ……、そうかもしれんなぁ。」
野乃花「センセ……。」
先生「なんだろうか、ノノ君。」
野乃花「ボクは、結局ボクらはヤキベンに戻ってしまうと、思うのです。」
先生「うむ……、そうかもしれんなぁ。」
野乃花「センセ……。」
先生「なんだろうか、ノノ君。」
野乃花「ボクは、ヤキベン最強説の半分は、この中華スープのせいではないかと、思うのです。」
先生「うむ……、そうかもしれんなぁ。」
野乃花「ちなみにセンセ……。」
先生「なんだろうか、ノノ君。」
野乃花「センセはスープを、戻し湯で入れる派ですか?」
先生「そりゃま、そうであろうなぁ。」
野乃花「ボクは普通にお湯で溶いたら、ここまで美味かったかと、こないだ気が付きました。」
先生「うむ……。それはちょっと、気になるなぁ。」
野乃花「とはいえセンセ……。」
先生「なんだろうか、ノノ君。」
野乃花「今日のように帰り道に買い食いのようなことをしてしまうと、たまたま持っていた水筒のコップで中華スープを二杯分作って回し飲みしたからいいものを、それが無かったら帰ってから哀愁漂わせて、中秋の名月を眺めながら飲んでいたかもしれないと、ボクは思うのです。」
先生「う、うむぅ……、確かにそうだろうなぁ。」
野乃花「さらにはセンセ……。」
先生「なんだろうか、ノノ君。」
野乃花「ボクは、最後の最後までフリカケ(青のり)をかけるか悩んだのですが、やっぱり美味しさには勝てず、かけてしまったのです。」
先生「うむむぅ……、乙女だなぁ。」
野乃花「だけれどセンセ……。」
先生「なんだろうか、ノノ君。」
野乃花「秋の河原で食べるヤキベンは、やっぱり美味しいです。」
先生「うむ……、俺もそう思う。」
野乃花「ねぇセンセ……。」
先生「なんだろうか、ノノ君。」
野の花「そんな秋の夕暮れですが、センセは未だにポロシャツでいいのだろうかと、ボクは思うのです。」
先生「うむ……、そろそろ何か、羽織るとするかなぁ。」