1、ウィンタースポーツ
すべてが雪に覆われる。良いことも悪いことも、厳しく切なく、そして美しい純白の雪に覆われる。山も森も、街も川も、生きていくところすべてが、ボクたちの全てが雪に覆われる。
白い雪に白い息。ボクはなんだか、このまま全てが雪の中に埋もれて消えてしまえばいいのに、と
思ってもいないはずのことを想う。
野乃花「センセは体育教師なのにスキーが下手だと、何よりリフトに乗るのが下手だと、ボクは思うんだよね。」
先生「いやいやノノ。俺は体育教師ではないし道民ではないしな。このサラサラな雪質に最初は感動だったが、滑るのに結構コツがいるぞ? そしてそのなんというか、道民のスキーだとかスノボの標準レベルが高くはないだろうか。」
野乃花「よくわかんないけどセンセ。道東は雪が少ないからスケートとかカーリングの方がメジャーだと思うよ。」
先生「流石は北国。ウィンタースポーツは普通に出来て当たり前なのか。キタキツネが野良犬と同じ頻度で歩いていたのと同じぐらいの驚きだよ。」
野乃花「来るときにエゾシカもいたよね。」
先生「あぁ。そういえばエゾリスとエゾユキウサギはまだ見てないな。」
野乃花「山に入ってもそんなに簡単に見つけれないと思うよ。ウサギの足跡はそこにあるけど。」
先生「あの ‼ か?」
野乃花「うん、あの ‼ だよ。どちらかと言うと ‥= だけど。」
先生「確かに ‥=‥=‥=‥= だな。どうやったらあんな足跡になるんだろうな。」
野乃花「知らないよ、センセ。センセはボクが何でも知っていると思ったら大間違いだと、ボクは思うんだよね。」
先生「まぁ、今日はノノのアドバイスのお陰で助かったけどな。」
野乃花「防寒対策とはいえ、センセは着過ぎだったからね。」
先生「防寒対策より防風対策。そして体温調整が重要だと身に染みてわかったよ。」
野乃花「そして適度な水分補給とカロリー補給も重要なのです。はい、センセ。」
先生「おぉ、チョコレートとカルパスがポケットから出てくるとは。リフトの上で食べるにはちょうどいいサイズ。」
野乃花「そして飲み物はカイロ代わりに内ポケットに入れてあるのです。」
先生「流石だな……。」
野乃花「ストックとゴミを落とさないように気を付けてね、センセ。」
先生「気を付けます……。」
野乃花「次、リフト降りるときは転ばないといいね、センセ。」
先生「頑張ります……。」