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コンサルタント?

 アレクさんのお願い、それは産業が抱える問題の解決への協力だった。


「実は、以前から問題にされていたのだが、良い解決案がでなくてな」


 その問題と言うのが、作業量の多さだ。作業従事者一人ひとりが抱える作業量が膨大で収穫が間に合わない畑まで出てくるらしい。


その結果、本来の生産予定量が確保できない状態が続いている。これは畜産にも言える事らしいのだが、特に農業従事者の不足が深刻化している。この問題解決に俺達力を貸してほしいと言われた。


「ご自分達で解決されるのが困難と?」


「うむ、我々も問題解決に当たり色々と努力をしているのだが、現状上手くいっていないのが現実だ」


 農業従事者もすでに限界ギリギリまで導入しており、追加の人員を入れることも出来ず、今回の侵入者の兼で問題が深刻化、早期対策が求められているらしい。


「特にピット君は色々新しい案を出すと聞いている。是非その力を貸してほしい」


 アレクさんの顔は真剣だ。それほど状況が良くないのだろう。


「面白そー、私たちに任せてー」


 キキさんはのりのりだ。


「ですが必ず解決できる案が思いつくともかぎりませんよ?」


 専門家達が解決できない問題を、素人である俺達が安易に受けるべきではないと思うのだが。


「なに、そんなに気負わなくとも、我々とは違う目線のアイディアを貰えるだけでも有難いのだ」


「そうですね、ピットさんの発想は有用です」


「そうだよー、やろーよー、ピーちゃーん」


 シエラさんまで乗って来た。これは俺が拒否した所でどうにもならないだろう。それに第5フロアを見て周るのにもちょうど良いかもしれない。


「分かりました。微力ながらお力添えしましょう」


「おお、やってくれるか!そうと決まれば会わせたい奴がいる。付いてきてくれ!」


「わーい、レッツゴー!」


 アレクさんの後を、ご機嫌なキキさんが付いて行く。俺達もそれに続く、先程も思ったのだがケン・タウロスの後ろを歩くときは視線の置き場に困る。







 アレクさんに連れられてやって来たのは、畑と牧場の境目に当たる場所だった。そこには大きめの倉庫ほどの簡素な建物が一つ、両開きの扉を押して入るとそこには大きめのテーブルと—————。


「おお、此処にいたか!」


 牛だ、今度は牡牛と牝牛が揃っている。違うのは二足歩行することだろうか。


「紹介しよう、ミノ・タウロスとミノ・クリミアの代表をしている第5フロアの幹部達だ」


 紹介された二人はこのフロアの幹部。各々種族代表をしている。第9フロアとは幹部を決めるシステムが違い、種族代表が幹部も兼任するらしい。


「ご紹介にあずかりました。ミノ・タウロスの代表です」


「こんにちは、わっちはミノ・クリミア代表しとります」


 なんとミノ・タウロスもミノ・クリミアも個体を示す名前を持っていないらしい。本人たちは身体の模様で個体の差別化をしているらしいのだが、俺達にはその判別が出来ないので、普段は各代表を通して連絡をしている。


「ミノさん、ミノちゃんおひさー」


「ミノさん、ミノちゃんご無沙汰しております」


「おや、お客様はお二人でしたか」


「お二人さん、やっとこめじゃな。元気かな。そちらさんはどなたかね?」


 一人濃ゆいのがいる。


「はじめまして、第9フロア新人のピットです」


 俺は挨拶をしつつ二人を見る。ミノさんはツナギ姿に麦藁帽子、復興作業をしていたミノ・タウロス達より一回り大きい。そしてミノちゃんは茶摘み着物に日よけの布が付いた帽子を被っている。こちらも他のミノ・クリミアより一回り大きいみたいだ。胸元の自己主張がすごい、二つの種族の違いは胸元以外にわかりそうにないな……。この二つの種族は本来同種でただ雄と雌の違いなのではないのかと思う。


「これはご丁寧にありがとうございます。私の事はミノさんとお呼びください」


「わっちの事はミノちゃん、呼んでな。ようおんさったで」


 二人と挨拶を交わす。


ミノさんは紳士全としている。モルトさんも紳士だったし、牡牛には紳士が多いのかもしれない。ミノちゃんは正に田舎のおばちゃんみたいだ。喋り、仕草、格好そのどれもがそれを醸し出している。


「さて、挨拶が済んだ所で本題に入ろう」


「本題とは如何様な話でしょうか?」


「彼らには我々が抱えている問題の解決に協力して頂く」


「それは人手が足りひん話けー?」


「そうだ」


 アレクさんが説明すると二人は神妙な顔をする。二人も何か思うところが有るのだろう。


「現状からの状況打破は、我々の急務だと私は考えている」


「それは私共も同じ考えです」


「ほんでどうしますの?」


 ミノちゃんの一言でみんなが俺を見てくる。今の状況で俺に何を求めているのだろうか。


「ええと、その前に現在抱えている問題について、詳しく聞かせてもらえませんか?」


 取り敢えずミノさん、ミノちゃんも交えて、彼らの作業方法を聞いてみた。


1、畑を耕す。

2、種まき

3、毎日の水やり&雑草の除去

4、作物の収穫


 これを1クールとして繰り返しているらしい。この中で適切なタイミングで肥料を与えたり、間引きを行ったりする。しかも一人一人抱えている作業量は非常に多い。使う道具も鍬、鎌、シャベル、ロープ、樽にジョウロ、これを全て手作業で行う。


 特に作業に時間を取られるのが水やりと雑草の除去だ。水は離れた水場から樽に汲み上げてジョウロで撒く。さらに雑草を除去するのに、くまなく畑を見て回る、ここの畑は栄養満点で毎日雑草を除去しないと、そのうち野菜の栽培でなく雑草の栽培場所になってしまうらしい。


 これは改善するにしてもかなり大掛かりになりそうだ。あえてここは直球でいく一通り話し合った所で俺は切り出す。


「改善策はあります」


「本当か!?」


「ただし、現在の方法から根本的に変える必要があります」


「……それは?」


「畑を個人の管理から、組織的な管理にします!」


 そう、俺が考えた改善策は大農法に基づく管理体制だ。


現在畑の管理はミノちゃんをトップにその下に個々にミノ・クリミア達が作業に従事している。さらに管理する畑は各地に点在していて作業効率が非常に悪い。彼らは自分が開拓を担当した畑をそのまま担当している為、開拓地を広げるほど作業効率が下がっていたのだ。


 さらに、複数の作業をこなす事で無駄な時間が増え、余計に作業効率の低下を招いている。


 これを個人の集まりから管理された組織に切り替える。トップにミノちゃんを添えるのは変わらないが、作業を分担してそこに責任者を立て、上下の管理をさせる。情報を共有し、作業の無駄を省く。これだけでも現状の問題をかなり解決できるだろう。


それに全てが手作業故に時間がかかるものが多い事も問題だ。これに関しても俺には一つ改善案がある。以前、魔道具開発工房のアルバイトをしていた時に作った魔道具が丁度使える。これは俺のアイディアで作成されているので実績が増え、更に俺の収入も期待できる。


ふっふっふ、正に一石三鳥。


「ふむ、今までとは根本的に違うのだな……」


「しかし、これで改善されるのでしょうか?」


「これわっちが纏めるのけ?」


 三者三葉、違う反応をする。確かに大きな変化には不安が付き物だ。だが現状の体制では大きな改善は見込めない。ここはアレクさんのフロアマスターとしての度量が試される時だな。


「俺が思いつくのはこれくらいですね。現在の条件ではこれが最善だと思います」


「うーむ、これは改善と言うより、改革ではないか?」


「確かに根本的に仕事の仕組みが違いますね」


「やっぱりわっちが纏めるのけ?」


 この先の決断は責任者の仕事だ。


「俺が助言できるのはここまでです。後はアレクさんが決めてください」


 結局の所、最後は自分たちで決めてもらうしかない。難しい決断だが彼らには頑張ってもらいたいものだ。


「……分かった。一度幹部を含めて話し合ってみる」


「アレク様の御心のままに」


「ほーやね、わっちもそれでえんな」


 結論は出ずとも、取り敢えずの方針は決まった。


「お話終わった~?」


「……(zzz) ! お話は終わりましたか?」


 あのこらえ性の無いキキさんが大人しく待っていた事にも驚きだが、立ったまま寝ていたシエルさんにも驚愕だ。


「うむ、取り敢えずと言った所か」


「お二人ともお待たせして申し訳ございません」


「おんしたあ、お待たせやで」


 流れで助言などしてしまったが、ここからは俺のもう一つの目的であるフロア見学に行きたいものだ。


「よーし、それじゃーお仕事終わりだね!遊ぼうー」


 今だけはキキさんの意見に賛成だ。


「しかし、私はまだ仕事が残っているので付き合えないぞ」


「私も復興現場に向かわねばなりませんので御一緒できません」


「ほんならわっちがご一緒したるわー」


 どうやら俺達一向にはミノちゃんが付いてきてくれるようだ。現地責任者が同行してくれるのは心強い。農地は走り抜けただけで確り見れてないからな。てか、俺大して知りもしないのによく助言なんてしたよな……。


「ほうしたらわっちが案内したるわ!」


「ミノちゃんの案内なら安心ですね」


「わーい、ミノちゃんと一緒~」


 その後、俺達はアレクさんとミノさんと別れ、ミノちゃんの案内の元、農地見学に出発した。俺は未だ、大草原はお目に掛かれていない。


 先に大草原見に行きません? え? ダメ?


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