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マスク少年

作者: あおねこ

普通、マスクというのは、

風邪をひいた時や、予防などの為などに身につけるものです。

ですが、最近ではこのマスクが、

ファッションと化しているらしい、

という話を聞きます。

「白いマスク」が普通のところを、

「黒いマスク」としてこの世に出回ったのは、

もう、古い話ではありません。


...今回話したいのは、

ファッションのことではないのです。

ある街に住んでいる、あるマスクをした少年のお話です。


彼は、かつて、イジメにあっていました。

それは、顔のことで。

最初は、軽くいじられていたそうですが、

今では、もう、過激なイジメになってきているそうです。

「なんでそんな顔なんだ?」と言われても

どうしようもありません。


少年は、家に帰ると、

部屋にこもって静かに泣いていました。

声に出さずに静かに泣き続けていると、

泣き疲れたのか、寝てしまっていました。


ベッドから体を起こし、部屋の中を見渡していると、

ふと、あるものを見つけたのです。


「マスク」と書かれた箱。

ざっと、50枚は入っていそうな箱。

少年は、箱からマスクを一枚取り出し、

何となく 口元を隠してみました。

すると、なんとも言えない 不思議な

安心感が少年を包み込みました。


少年は思いました。

「これで安心して生活できるかも知れない」

マスクのおかげで、イジメという恐怖が無くなるかもしれない。

そう思っていました。


翌日━。


少年は、マスクをして登校すると、

別のクラスの女の子から声をかけられました。


「どうしてマスクをしているの?」


それは、さり気ない質問でした。

少年は何も言わず、下を向いたまま教室へ

足早に向かいました。

教室に入り、席につくと、いつもこの時間に虐めてくる筈のいじめっ子は虐めてきませんでした。


やはり、マスクをしたことによって、

いじめが止まったのかもしれない。


そう感じました。

少年は、その日を境に、毎日マスクを必ずつけて行くことにしたのでした。


時は遡り、高校に入った少年は、

マスクをして登校するのを続けていました。

親にもこのように言われていました。


「もうマスクなんてやめたらどうなの?」


すると少年はこう返したのです。


「これをしていないと、

自分を見失ってしまいそうで怖いんだ」


そう言うと、親はその言葉を認めてくれました。


少年がマスクをしている事に対して、

周りの人達は、何も言わず、

ただ、優しく接してくれています。

少年は、今でも、

幸せそうに高校生活を過ごしていますが、

彼がマスクを外せるようになるには、

まだまだ、時間がかかるかも知れませんね。

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