第五話 とうとうやってきた戦いの日!
とうとうやってきた戦いの日。
私は昨日、ミナホが作るのを手伝ってくれたチョコが入った鞄を腕に抱えながらだいぶん早めの登校。
なぜって?
お客さん達が登校してくる前に仕事を終わらせるためだ。
私は三年生の昇降口に行くと、素早く上履きに履き替え、そのまま一年生の昇降口にダッシュ。
お客さんリストに記された下駄箱の位置を確認しながらチョコの包みと小さい封筒を入れて行く。
この小さい封筒の中には私が作ったバレンタインカードが入っている。
昨日はこれを製作していて、寝たのが……お日様が出てくるちょっと前かな?
これもサービスの一環だ。
次に二年生の昇降口、最後に三年生だ。これでチョコとカードはだいぶ減った。
安心していてはいられない!
私は残りのチョコを抱えると、『机の中に入れておく』を希望したお客さんの教室へ向かう。
この作業が疲れる……まず、机を探さなくてはいけない。次に、腰をかがめてチョコと手紙を入れる。
これを何回も繰り返していると腰が痛くなってくるのは当然だ。
皆の登校時間まであと15分の所で私は朝の仕事を終える。
予想より早く終わってまった。とりあえず、自分の教室へ戻る。
教室のドアを開けた瞬間冷たいものが首筋にあたる。何?!朝から幽霊?!
「ひやぁぁぁ!」突然のことで叫んでしまう。
「佳乃!朝の仕事お疲れ様でした。」振り向くとミナホが私の首筋にペットボトルのお茶をあててニコッと笑っていた。
「なんだよ〜ミナホかあ〜びっくりしたよ。朝から幽霊かと思った……」
「ねえねえ!それよりもさ!知ってる?天道リリにちょっかいを出したバカな子がいるんだって!あのリリにちょっかいを出すなんてねぇ〜その子はリリから突き飛ばし攻撃を食らって階段から転落。そこにリリの好きな子が現れてその子を庇ったらしいの!リリはカンカン!取り巻きの女の子達とハンカチを噛んで逃げて行ったんだって。まあ、噂に過ぎないけどね。そのリリの好きな子っていうのが気にならない?」
一気にまくし立てるミナホ。近所の噂好きのおばさんみたいだ。天道リリにちょっかいを出すなんて…そのバカな子も怖かっただろうな〜つい最近、怖い目に合わされた私が言うことだから間違いない!
「そのリリが好きな子が司らしいのよ!可哀想な司……あの性格悪いお嬢様に気に入られちゃってねぇ……って佳乃?どうしたの?」
顔を青くした私にミナホが心配してくる。
「いや……その多分……ちょっかい出したバカな子って私だと思うんだけど。リリって司が好きだったんだね……いや………そうとも知らずにさ…私、司にチョコを売っちゃったから…」
話を聞いていたミナホの顔もみるみる青くなる。
「ええ〜私、佳乃からの念チェックするの忘れてた…その時はちょうど帰宅中でして……」
でもまあ、司のそばにいたらリリも寄ってこないだろう。好きな子の前で悪いことはできないしね。だからあんなに司が来たときは真っ青になってたわけね……
私はミナホがくれたペットボトルのお茶を口に含む。お茶を飲むなんて久しぶりだ。いい香りがして美味しい。目を細めてしばらくの間、お茶を堪能する。
「佳乃。私、こんなにお茶を美味しそうに飲む人なんて初めて見たわ。」ミナホが驚いたような呆れたような顔で私を見つめている。そんなに変だろうか。
「もうチョコは半分ぐらいしか残ってないけどこれからよ!お昼休みと放課後に残りをお客さん達に渡しに行かなきゃいけないからね。体力保存しとかないと!」私はペットボトルのお茶を半分ほど残すと自分の鞄の中に入れた。これは全てが終わったとき用にとっておこう。
「そうだ……あのさ、佳乃。これ、私からの友チョコね。」ミナホの手の中には綺麗にラッピングされた袋。
友チョコ?
私に?
キョトンとしてしまった私にミナホが袋を押し付ける。
「その………友達にもチョコをあげるのがあるの。それが友チョコ。受け取ってくれるかな?」
顔を少し赤らめたミナホ。私には今の彼女が女神にしかみえない。
「ミナホォォォォ!!!」涙が溢れてくる。そのまま彼女に抱きつく。
「受け取ります!受け取りますとも!ありがとうございます!これは家宝に……」
「いや!腐る前にちゃんと食べてください!」そう言いながらも苦笑しているミナホ。
私は幸せものだ。こんな可愛い友達がいるなんて!
「頑張れ!佳乃!応援してるぞ!」手でハートマークを作りながら微笑む。
「ありがとう!ミナホ!頑張るね!」私も手でハートマークを作って笑顔になる。
明日はバレンタインデーです!
明日で完結させるつもりです。女子の皆さん!頑張れ!




