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第ニ話 モテない男子でも大丈夫だよっ☆

今回はミナホ目線です。

少し短いかもしれません。


その日の放課後からバレンタインチョコ大セールの受付が始まった。


もちろん佳乃に手伝わされる私。

別に手伝わされるのはいいのだが、この先、お金に目がくらんで将来、変なことになってしまわないか佳乃が心配だ……



彼女に言われた通り1階から3階の掲示板にポスターを貼ってまわる。


手作りポスターと言っていたが結構上手くできている。これを一晩で50枚も作ったのか佳乃……私は先週、造花を内職している佳乃を見かけたのを思い出す。聞くと一週間で250個は作ったらしい。我が親友ながらいつ寝ているのか恐ろしくなる。なのにニキビなんてないすべすべ肌……なんで?


「おお〜ミナホ!ポスターちゃんと貼ってくれてるんだね!ありがとう!余ったのは『モテない男子でも大丈夫だよっ☆憧れのシチュエーションでチョコを渡します!バレンタインチョコ大セール開催!1個100円だよぉ〜』って言ってばら撒くかモテなさそうな男子にでも渡しといてね。」


廊下でバッタリ会った佳乃がウインクと共にそんなことをリクエストしてくる。

いや、さっきは貼るかばら撒くだけでいいって言ったよね!そんなこと言えなんて言われてないよ!


私が反論する前に「じゃあ!」と手を振ってどこかに行ってしまう。ちょっと待ちなさい!逃げるなぁ!


仕方がない……

佳乃は可哀想なほど貧乏だ。家賃3万のアパートに住んでおり、月たったの4万円しか親からもらえない。食費などは自分で稼がないといけなくて、夜は日付けが変わるまで、朝は新聞配達をしてから学校に来ることを私は知っている。ここは可愛い私の親友のために一肌脱ぐか…


「モテない男子でも大丈夫だよっ☆憧れのシチュエーションでチョコを渡します!バレンタインチョコ大セール開催!1個100円だよぉ〜!」3階の空き教室から校庭に向かって、余ったポスターをばら撒きながらありったけの声で叫ぶ私。

ううううっ〜恥ずかしすぎる!


陸上部や野球部、サッカー部の皆さんがなんだなんだと、私のことを見上げてくる。急いで顔を隠して空き教室から脱走。もうあんなことは二度とやりたくない………

私は顔を真っ赤にしながら鞄を持つと「仕事は終わらせたぜ!旦那!」と佳乃に念を送りながら家に帰った。

(佳乃は携帯を持っていない。それ故、念を送るしか伝えたいことを伝える方法がないのだ)


明日は頑張ってる佳乃にお弁当を作っていってあげようかな?



****************

おまけ




「おい!今の見たか?!あれ絶対、北川ミナホだよな!」


「何?バレンタインチョコ大セール?ポスターみたいのが降ってくる!」


「えっ!マジで彼女がチョコを売るのか?!おい、司!彼女と友達だろ?なんか知らないのかよ。」


はぁ、と深いため息をついてしまう俺。

本気なのか……佳乃……


「いや、違う。売るのは柊佳乃。ミナホはただ手伝わされてるだけだ。」

俺は同じサッカー部の奴らにぶっきらぼうに答えてしまう。

あんなことを思いつくなんて……金に目がくらんで将来変なことになってしまわないか心配だ。


「でもいいよなぁ〜佳乃……可愛いし〜俺買おうかな………どうせ誰からももらえないだろうし…」


誰かが呟くと、「俺も買う買う!」と皆、鼻の下を伸ばしながらポスターを拾いにいく。

ふん、面白くない。俺は一人リフティングの練習を始めた。








おまけは司目線です。

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