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雨の日に……

雨の日に揺れ落ちたフード

作者: 宵楢萎茶菓

 わっ、なんでここにいるんですか!

 会えたのは嬉しいですけど、びっくりしたじゃないですか。確か、あなたの家は逆方向でしょう?


 雨を存分に味わってから帰る? ……ふふ、あなたらしい理由ですね。


 ええ、立ったままっていうのもこっちも申し訳ないですし、並んで座りましょう。そちらのあなたも。

 って、もう一人のあなたは一体……






 ……ああ、あの傍迷惑さんのお兄さんでしたか。

 いえ、申し訳ありません。僕も少し、気が立っていたんです。あの人を傷つけてしまいましたね。

 今はちょっと、頭を冷やしているところです。この雨ですから、存分に冷えることでしょう。

 そういうとこ、好き……だなんて、勿体ないお言葉です。恐縮です。


 いやぁ、なんだかこんなに人に囲まれたのって久しぶりです。

 え? 前にもあったの? って……あまりいい思い出じゃありませんよ。恐喝でしたから。






 あ、ごめんなさいごめんなさい! なんか変な空気にしてしまって。あ、あの、傘ありがとうございます。でもちょっと退けてもらっていいですか? はい、そういうことです。……物分かりのいい人で助かります。




 あの、いえ! そちらの妹さんを悪く言いたいわけではなくて。






 なんか、前みたいな感じ……そうですね。なんか今日はおれ、[ぼく]に戻ってます。皆さんに余計な負担をかけまいと強くなろうと変えた人称なのに……


 あ、ごめんなさい、一人置いてきぼりですよね。説明します。

 ぼくと雨好きさんとオレっ娘さんは……そうですね、本当、今日みたいな激しい雨の日に、偶然に出会ったんです。

 ぼくは、こんな……とても臆病というか引っ込み思案な性格なので、よく施設でいじめられていました。学校でも。

 あまりにひどくて、ぼくはよく逃げ出すし……で、学校、やめたんです。

 雨の中、弱虫の涙を流すのが嫌で、傘も差さず、周りの訝しむ目にも耐えながら、ぼくはひたすらに雨に当たっていたんです。

 でもさすがに雨が強すぎて、一時的に避難したここで……二人に会ったんです。

 こんな豪雨に傘も持たずにいる珍妙な仲間たちなんて言いましたっけ?

 とっても可笑しい名前ですけど、ぼく、意外と気にいってますよ。




 二人の励ましがあって、ぼくは今までどうにかやってこられました。

 でも、そろそろ自分一人で立てるようにならなきゃって、色々努力したんですけど……だめですね。











 たった一人の女の子の真実を知っただけで、これですから。














 妹さんには、心配をおかけしました、とお伝えください。ぼくは正直、あの真っ直ぐすぎる[親切]の前で我慢できる気がしませんから。






 え。











 あなたも仲間に、ですか?




 もちろん! 二人も、いいですよね?













 じゃあ、友達ですね!






 あれ? 雨好きさん? なんで上なんか向いて……

 ……そうですね、雨は偉大です。








































 ぼくもちょっと、フード取ろうかな。



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