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最終話「和解そして不信感」

最終話「和解と不信感」

「・・今までは悪かった」

 カズキはリンに対して謝っていた。あのファントムとの戦い

 からすでに三日が過ぎている。輝彦達が見守る中カズキはリ

 ンと和解をしていた。結局あの後カズキは学院長と武彦に

 リンを責めた所で過去は変えられないと言われ、これからす

 べきことを考えろとも言われた。カズキが謝ったのに対し

 リンは笑っていた。

『謝る必要なんてありませんよ』

「・・これからは俺に力を貸して欲しい・・」

『はい。もちろんです」

 リンとカズキは笑いながら握手していた。その様子を見守って

 いた輝彦は深刻な顔をしていた。この学院はどちらかというと

 教団よりである。だがその教団に学院は襲撃された。たった一

 人の精霊を確保するために他の物は全て壊しても構わないとい

 う命令で。輝彦は教団に対して不信感を募らせていた。もうこ

 れ以上あの組織を信用するわけにはいかない。

「輝彦、どうしたんだ?」

「教団の事を信用するのもこれまでと思ってさ」

「ま・・あれだけやられればな」

 そしてカズキも自分の祖父に対し不信感を抱いていた。いや、す

 でにあんな者を自分の家族とは思えない。精霊を自らの手駒にす

 るためだけに学院を襲撃するなどやり方が間違っているしカズキ

 もこれまでずっと騙されてきたのだ。もはや信用など出来ない。

「・・それよりあの人達は・・」

「もう帰ったんじゃないか?なんか忙しそうだったし」

 武彦達はあの日以来彼らの前には現れていない。いつ帰ったの

 かも分からない。リンとしてはお礼くらい言っておきたかった

 のだが、それすら出来ていない。そのころ、武彦はルイと共に

 学院長室にいた。

「これからあなた達はどうするのです?」

「しばらくは身を隠す。・・どれくらいの期間になるか分からん」

「一つ頼みたいのですが・・この学院にあなたの部下を置いてく

 れませんか?」

 武彦は了承した。学院がもう一度襲われる可能性は高い。今

 回だけであっさりと手を引くような人物じゃないからだ。こ

 れ以上生徒達を巻き込むわけにもいかないだろう。武彦も出

 来る限りは協力するつもりであった。

「二、三日で人員を派遣する」

「そんなに大勢はいりませんよ?」

「分かってる。アカツキを含め五人程度にする」

 武彦の言葉に学院長は驚く。アカツキが武彦達の陣営に加

 わったのが驚きなのだ。教団内部でもそれなりの地位を獲

 得していたアカツキだが、この前の教団のやり方に対して

 不満を抱き、ついに離反を決意したということだ。

「では・・そろそろ戻るか・・」

「・・・本当にこれで良かったの?」

 今まで一言も喋りはしなかったルイが静かに尋ねる。カズキ

 達を巻き込んだことだろう。確かにこんなことは望んではい

 なかった。まだ学生である彼らを巻き込む事はしたくなかった。

 だが、教団の強硬手段とも呼べる作戦のせいで彼らは巻き込

 まれてしまった。恐らく今後も教団はいろいろな手段を使い

 この学院を襲撃するだろう。それだけの理由がここにはある。

「教団は本気で彼らを消しにかかるだろう」

「ファントムを見たから?」

「邪魔となったからだ」

 武彦はもう彼らをそのままにしておくことはできないと告げた。

 そうすれば彼らが危険になると。学院長はそれを理解している

 し、ルイも理解した。学院を巡る争いはまだこれで終わったわ

 けではなかった・・

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