シンメイvsペインター
荷台の中に予想外のものを見たペインターは一瞬唖然とした表情を浮かべたものの、すぐに自分の置かれた状況を理解した。
「ちっ」
舌打ちをして、手を荷台の中へと向けようとする。
異能の力を使うつもりだろう。その標的はシンメイとシシーの二人だ。
だが少年の手が二人の方へと向ききる前に、シンメイが動く。
積荷が散乱する荷台からペインターに襲い掛かった彼は、その最初の一打から、流れるように高速の連打へと繋ぎ、圧倒。
そのままペインターを防戦一方へと追い込んだ。
これが遵心会Aランクの能力者の実力。
本部のトレーニングルームで見せたレンゴクやシュウマのそれとは速度、精度、威力の全ての面において一段も二段も上である。
シンメイの猛打を浴びながら少年は理解する、これは自分の手に負える相手ではないという事を。
「さて、大人しく投降してもらえませんか」
一連の攻撃の最中、わざと手を止め、忠告を発するシンメイ。
息一つ乱していない彼とは対照的に、攻撃を必死に防いでいたペインターは肩で息をしながら答える。
「ああ、いいぜ。……あんた掃除屋だろ。それも相当に腕が立つみたいだ。まったく勝てる気がしねぇよ」
口ではそう言い、忠告に応じるような素振りを見せるペインターであったがその目は死んでいない。