犯行の傾向
ペインター逮捕に向けて、今回の作戦はレンゴクの指導者であるシンメイが立てていた。
彼が罠を張るのに、このアップルボーイ食料品店のトラックを選んだのには理由がある。
それは犯行の傾向。
今回の事件では、大麻や合法、違法を問わず薬物の取引を行う輸送車が狙われる事が圧倒的に多かったのだ。
それもバックの弱い会社や組織のみを巧妙に食い荒らしていた。
闇雲に輸送車を襲っているのならばそんな事は有り得ない。
どこかしらで情報を仕入れ、犯行を行っていたに違いない。
そしてこのアップルボーイ食料品店も新参の後ろ楯の弱い企業の一つであったのだ。
シンメイは調べ上げた違法取引の黙認を条件に彼らの協力を得て、今回の作戦を遂行していた。
作戦を開始してから二週間近く経ったこの日、ついに犯人がシンメイの罠に掛かる。
走行中のトラックが突如急ブレーキを踏み停止したかと思うと、それからすぐ後に荷台の扉が開かれ、一人の男がシンメイ達の前に姿を現した。
それはフード付きのパーカーを身につけ、まだ幼さの残る、十四、五の少年だった。
彼こそがペインター。
連続強盗事件の犯人である。