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別の顔
大麻の取引。
列島政府加盟国のほとんどは嗜好品としての大麻を、違法薬物として育成から所持、取引の全てを規制していた。
しかし、この欲望の島ゴッドアにおいては少々事情が異なる。
観光客など対外イメージを気にして、主要区では他国同様に規制がしかれていたが、そういう区画を除けば、この島において大麻は合法的な嗜好品として認められていたのだ。
観光客の中には大麻を目当てに島を訪れる者もいるぐらいで、主要区の規制もほとんど意味を成しておらず、よほど大っぴらに吸いでもしてない限り捕まるような事はまずない。
そして主要地域の商業区と違い大麻規制を受けないこの十七区には、その手の店がより多く集まっていた。
アップルボーイ食料品店もそのうちの一つである。
わざわざ食料品店を装うのは、大麻の規制地区での取引もスムーズに行う為でもあり、いくらこの国では合法と言えど体面を気にする顧客の為でもあった。