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トラック

 汚れた街を一台のトラックが走っていく。

 荷台がアルミ製の箱型になっているバンボディタイプで、何が積まれているか外からではわからない。

 ただ、トラックにペイントされた『アップルボーイ食料品店』という文字を見れば、だいたいの人間は荷台に積まれている物が何か、同じ想像をするだろう。


 その想像が当たっているかどうかはともかくとして……。


「シンメイさぁん、今日こそ彼、きますかねぇ」

「来てもらわないと困りますね」


 トラックに積まれていたのは食料品などが入ったダンボール、それにヤスダ・シンメイとシシー・スーの二人だった。

 彼らはもう二週間近く、朝から夕方までトラックの積荷になり続けていた。


 毎日毎日荷台で揺られ続けるのはさすがに堪えるらしく、シシーはうんざりした表情でだらけきっている。


「本当ですよぉ。ペインターさ~ん、はやく来てください~」


 彼らの待ち人、それは連続強盗事件の犯人『ペインター』。

 連続強盗犯がこのトラックを襲いに来るのを待っているのだ。


 無論、ただの食料品店のトラックを好き好んで襲う連続強盗犯なんていやしない。

 アップルボーイ食料品店には別の顔があったのだ。

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