第十七区
第十七区。
ゴッドアの掃き溜め第七区から貧民地区を隔てた先にあるこの商業区では、多くの企業が日夜を問わず活動していた。
だが、この十七区には他の商業区と違い、これといった大企業が存在しない。
その原因となっているのは第七区や他の貧民地区から影響を受ける事による十七区の治安の悪さであり、この地区で活動する企業の多くは、ある程度規模が成長した後に治安の良い他の地区に移ってしまうからである。
ゴッドア国の性質上、島の犯罪発生率は全体的に高く『犯罪の島』との蔑称で呼ばれる事すらあるのだが、第十七区のそれは、ゴッドア内においても目立っていた。
計測不能の第七区は特別として、その他の貧民地区とも負けず劣らずの犯罪発生率を毎年記録しているのだ。、
十七区の企業のほとんどは下層の住民を相手にした商売か、他地区の企業からの下請けで経営を成り立たせている。
いわゆる中小企業ばかりで、警備費用に大金をかけれるような体力のある企業は少ない。
当然、金のかかる能力者を雇う事などそうそうできるものではない。
そういった事情が余計に、この街の犯罪発生率高めていた。
そしてこんな状況下にある第十七区を、犯罪者達は『小銭が転がる街』などと呼び稼ぎ場にしていた。
今回の標的『ペインター』も、この街で小銭を拾う犯罪者の一人であった。