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ピンボール

 まるで弾丸の兆弾、勢い良く射出されたピンボール玉。

 少年はぶちまけられた青の塗料を蹴り続け、高速で倉庫の中を上下左右と自在に飛び跳ねまわる。


 常人には何が飛び跳ねてるかもわかりはしまい。

 能力者であるレンゴクが集中してぎりぎり目で追えるほどの高速。


 それほどの高速状態で、ペインターは的確に狙いをさだめて攻撃を繰り出す。


 右から。

 左から。

 上から。


「ぐっ!!」


 速度が上乗せされた殴打をレンゴクは浴び続けた。


 その一撃は重く、ガード上からといえどダメージの蓄積は小さくない。

 亀のように守りを固めたところでこのまま打たれ続ければ、結果は見えている。

 相手の動きに圧倒され脚を止めるのは自殺行為。


 それでも、ガードを固めて攻撃を浴びる間に飛び跳ねまわるペインターの動きをレンゴクは観察、分析する。


――高速といえど、青の塗料の反発力を利用した動きは非常に直線的で、軌道を読むこと自体は可能か。問題ない!!


 むろん軌道が読めたところでその動きに対して体がついていかねば意味はない。

 己の気をコントロールし、脚への割合を高めるレンゴク。

 そして能力者だからこその超人的なフットワークを駆使し、彼はペインターの高速攻撃を辛うじてながらも受け流し続ける。


「ちっ、ちょこまかと!!」


 防御と回避に専念するレンゴクにペインターは苛立ちを募らせた。

 圧倒的な優勢下ながらも標的の脚が動く限りは勝負を決めきれない。


「だったら……!!」


 少年は狙いを変えてレンゴクに飛びかかる。

 それを見て、ある種、型にはまった一連の動作として防御と回避体勢をとるレンゴク。

 

 両者のすれ違いざま、紫の塗料が攻撃者の指から射出される。

 咄嗟の判断で回避するレンゴク。


 だが……。


「上手く避けたつもりだったろうが残念だったな」


 避けたはずの塗料。

 それと同じ色のモノがレンゴクの脚にからみついていた。


 彼の動きを読んだその攻撃は一発目の逆手から放たれていた。


「さぁどうする。ご自慢の足捌きはもう使えないぜ」


 惨忍な笑みを浮かべながらペインターは己の勝利を確信する。

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