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ペイント
不意に両手にピストルの形を作る少年。
そしてその右手をシンメイに向け、人差し指からペインターの異名に相応しい紫色をした塗料のような物体を放ったのだ。
しかし、これを呆気なくシンメイは回避する。
いっけんすると、不意打ちは失敗したかに見えたが、少年の狙いは別にあった。
右手の攻撃と同時に左手で自分の足元に青い塗料をぶっ放し、そのまま着色された地面を蹴り飛ばすペインター。
彼の体が弾き飛ばされるかのようにして宙に飛ぶ。
そしてその状態のまま、器用に次の着地点に再び青の塗料を着弾させていく。
青い地面を蹴り、飛び、青い着地点を作っていく。
その繰り返し。
地面だけではない。建物の壁でもなんてもおかまいなしに街中を青く染めまわりながら、それを発射台のように利用していくペインター。
異能の力を使い高速移動する少年をシンメイは追えなかった。
いや、追わなかった。