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桃姫〜Please don't take my Sunshine away〜  作者: noonpa
第一章 Flower and Sunshine
8/9

終幕

 だからシスターシスターシスター私はシスター( ̄Д ̄)ノ

 あなたは大事な大事な私だけのおにいちゃん( ̄▽ ̄)

 そんな、韻踏みまくりの中毒性の高めな歌が、耳に付けたイヤホンから流れている。実際、彼女──桃瀬日(これでももせデイと読む。難読にも程がある)は現在のトップアイドルというやつであり、日本全国の妹ファンが今もこの歌を聴いて脳を蕩けさせている。ちょっとした社会問題だ。更にこのアイドル、歌と踊りは勿論、マネージャーのジーと『シスター&坊主』というコンビ名で漫才までするのだから、幅が広い。

 かくいう、僕も彼女の隠れファンだったりして、今日も受験生のくせに彼女のファーストアルバム『堕ちた妹のセレナーデ』のCDを買って、少々ルンルン気分だったりする。因みに、セレナーデの意味は知らない。

 雪が深々と降る。

 今は二月上旬。元々雪があまり降らない地域なのだけれど、今年は異常気象だか地球温暖化だかの影響で膝が埋まるくらいの銀色が街を覆っていた。とりあえず何で地球が熱くなると雪が大量に降るのかがわからない。多分僕みたいな受験生を苦しめる雪男の嫌がらせなんだと勝手に予想している。

「おい! そこのにいちゃんっ!」

「え?」

 ガラガラとしたお世辞にも綺麗とは言えない声が、突然と後方から聞こえる。

 僕はゆっくりと背後を向くと、そこには、明らかに育ちが良くありませんよ、と全力でアピールしてるような男が三人、鮮魚のようなギョロリとした目で僕を睨んでる。

 もしかして、絡まれてる!?

「ぼ……僕ですか?」

「おうにいちゃん。ぶつかっといて、侘びの一つも無いたぁ、どういう了見だ?」

 そ、そんなわけないじゃん。だって、僕はあんた達の前にいたんだから、ぶつかれるわけがない。

「え……僕……ぶつか──」

「なんだよ、その目つき。なんか文句でもあんのか?」

「あんま舐めてっと、俺、どうすっかわかんねえぞ? ゴラァ」

 目つきが悪いのは生まれつきなんですけど!?

 けど、そんな事を説明する暇なく、僕は路地裏まで強制的に連れて行かれる。


 ──気が付いた時には服はボロボロ、有り金は全部取られて、桃瀬日のファーストアルバムは割られてた。

「生きてて楽しい?」

「てかお前何で生きてるの?」

 そんなことを言ってゲラゲラと笑いながら去っていくギョロ目達。

 不思議と身体が痛いとかはない。

 なんか知らないけど、僕は人より多少丈夫だったりはする。

 力はそんなに弱くはないと思う。でも、致命的に運動神経がない。速い速度で何かが近づくと、全身の筋肉が強張って、目を瞑ってしまう。俗にいう、鈍臭いというやつだ。だから、ギョロ目達のパンチも避けられない。

 ついでに言えば、勉強もあまり得意じゃない。てか苦手。実は今高校浪人中だったりする。まあ、それにはいろいろと訳があるんだけれど、社会はきっと、僕を同情してはくれないだろう。

 パンパンと身体に付いた埃を払って、割れたCDを拾う。

 ああ、楽しみにしてたのになあ。

 不意に目から涙が溢れ出る。

 ──生きてて楽しい?

 どうだろう?

 ──何で生きてるの?

 何でだろう?

 あえて答えを絞り出すとしたら、別段楽しいとかは無いけど、理由なんて高尚なものも無いけど、死にたくないから生きている、それしか無いんじゃないだろうか?

 そんな無い無いづくしの僕の人生。

 こんな人生にどれだけの価値があるんだろう、なんて思う。

 ………………。

 …………。

 ……。


 ○ ○ ○


「いでっ!?」

 裏口前にある微妙な段差で転ける。

 これもある意味日課だ。かれこれ多分十年くらいここに住んでるが、記憶してる限り、このナチュラルなトラップに引っかからなかったことはない。

 僕の家は、ホストクラブをやっている。名前は『闇の国』。なかなかに厨二病チックなのは、店のオーナーである母さんが──

「フハハハハ! よく帰って来たな、我が眷属よ」

 齢三十を過ぎても厨二病を抜けられないからに他ならない。

「眷属じゃないってば! 僕は息子だっていつもいってるだろ!」

 休憩室で、オヤツのポテトチップスをバリバリ食べる我が母をみると溜息が出る。いつもながらイタい格好だ。ゴスロリに、無駄に精巧な金色の十字架がついてる黒い眼帯。自称深窓の令嬢とのことだが、明らかにキャラを間違えてる。もう少し自分の年齢とか考えてほしい。それでもまあ、この人の経済的な手腕とか、そういうのは素直に凄いとは思うけれども。

 ホストクラブ、なんて言っても、その実、そこまでいかがわしいものではない。ただ、この店の誇るイケメンな男性店員(母さんが、時折ふらっと外に出てヘッドハンティングしてるらしい)が悩める女性と一緒にお酒やら何やらを飲むサービスもあるというだけだ。料金も良心的だし、〜歳未満立ち入り禁止というのもない。まあ、ちょっと前に流行ったらしいメイド喫茶や執事喫茶みたいなものだと思ってもらって遜色ないと思う。時折ファミレス気分で家族連れが来るくらいだ。

「いいけど、あんまり食べ過ぎないでよ? 今日はケーキの日なんだろ?」

「おお!? そうであった!! 我が眷属よ、早くケーキを作ってくれ!!」

「はあ。わかったよ」

 天は人に二物は与えず、なんて言うけれど、あれは嘘だと思う。

 世界には、無い無いづくしな僕から見れば二物どころか、十物も百物も与えられた人間で溢れている。

 アイドルの桃瀬日なんて、あんなに可愛くて、色々できて、多分千物くらい与えられているんじゃないだろうか。

 そんな中、天から愛されなかった、無い無いな僕でも、唯一、一物だけだけれども、得意なことがある。

 それは料理だ。

 和洋中。見て、食べたことのある料理ならレシピ無しである程度再現できるし、オリジナルレシピも十や二十ではない。特にプリンやケーキなんかのデザート系は大の得意だ。

 なんで、料理だけがこんなに得意なのかというと……実は全くわからない。

 ……実は僕、柴田桃には一年以上前の記憶無い。

 なんでも、高校に落ちたショックでフラフラしてるとこに、トラックにぶつかって記憶障害を起こしたとか。

 僕の主治医である自称配管工の近衛真理子先生が言うには、この記憶障害は一生治ることがないということらしい。

 絶望とかはあまり無い。

 無くなった物が何かわからないと、絶望もうまくできない。

 ただ、勉強のことが全部頭から抜けてるのは、受験生として厄介なことではあったけれども。

 スマホを見ても友達らしき名前は一つも無かった。きっと、親しい人がい無かったのだろう。

 過去の無い俺は、高校浪人なんかして、多分未来も無い。頑張ろうなんて野心も無い。絶望は無いが、同時に希望も無い。それを打破する目標も勿論無い。我ながら無い無い人生ここに極まりだ。

 そんな無い無いな僕は、母親曰く、小さい頃から店の厨房に立っていたらしく、実際包丁を握ってみると自然と身体が動きだしたのだ。軽い恐怖である。

 まあそういう理由で、この一年、俺は勉強をしながら家の手伝いをするってのが日課になっていた。

 因みに試験は明日。

 正直、こんなタイミングでケーキなんてヘビーなもの作らせる親は、純粋に親失格だと思う。……まあ、気分転換にはなるけどさ。多分、無い無いづくしな僕は、これが存外心の助けになったりする。

 無い無いな僕でも、人を楽しませることができるんだ、なんて自分を慰めることができる。

 因みに、今日のケーキは母さんの昔の友達が、この店を貸し切って、ケーキを食いたいとのことらしい。なんか祝いことでも有るのだろうか。有るなんて、無い無いな僕からしてみれば羨ましい限りだ。

 ケーキは去年のクリスマスに一度作ったのが、記憶にある中では、最初で最後だ。絶対失敗すると思ったんだけど、存外うまくできて驚いた。あの時も僕の手が勝手に動いた感じだった。

 そして──

「まあ、こんなもんかな?」

 完成した。

 人が何人か来るって言うから、何種類か同時並行で作ってみた。皆、多分いい感じにできてる。

 あとは、チョコレートプレートに字を書くだけなのだけれど……あれ? プレートが見当たらない。どこに置いたっけ?

「母さん! チョコレートプレート知らない?」

 休憩室を完全私物化している、母さんの元へ向かう。

「おお! やっと完成したか?」

「まあね。あとはプレートに字を書いて乗せるだけなんだけど──」

「ふふふ。我が眷属よ。それはもう終わった」

 そう言いながら、母さんはドクロが散りばめられた、何やらおどろおどろしい小皿(こんなのどこに売ってるんだろう?)を僕に差し出す。その上には確かに字の書かれたチョコレートプレートが乗せられていた。

「いや、書くのはいいけどさ。勝手にプレート持ち出すのやめてくれない?」

「ふふふ。実は我が封印されし右目が──」

 あ、長くなりそう。

 料理ってのは、気持ちを込めれば込めるだけ、美味しくなるってのが、一応の僕の持論だ。めんどくさいなあ、なんて考えながら作ると、大抵クレームが来る。だから、僕はいつも食べる人の為に、なんて柄でもないことを考えながら作っている。

 多分、このプレートに書かれた字は、母さんが、母さんの友達のことを強く想って書いたのだろう。

 だったら、僕の出る幕なんてない。

 僕はチョコレートプレートに書かれた字を見る。

 するとそこには、

『もも たんじょうびおめでとう!!』

 なんて書いてあった。

「はあ!?」

 もも?

 なんで僕?

「おい。母さん、これ……」

「フハハハハハハ! 気付いたか。実は今日はお前がこの世に召喚されてから丁度十六年目なのだ」

「マジで?」

「マジだ。私は秘密は多いが嘘はつかない!」

 嘘つけ。この前も高い中二病グッズかって、「こ、これは、ホスト達の新しい制服にと……」とか言ってたじゃねえか。あんなゴスゴスロリロリなもの、男が着れるわけねーし。

 確かに、僕は事故から目を覚ましてほぼ一年くらい経つけれど、一度も誕生日なんて迎えた憶えがない。

 つまり、僕は誕生日前後に事故で死にかけたってことで……なんかやだなぁ。

「てか、今日は母さんの友達が来るじゃないの?」

「ああ、そうだ。だが、同時にお前の大事な人でもあると、私の封印されし右目が──」

 ……よし。放置しよう。

 僕がそう決心した時だ。

「ノー」

「あっ。ノーさん」

 我がホストクラブ、の人気ナンバーワンホストである、ノーさんが顔を出したのは。この人の特徴と言えば、無口で、精悍な顔つきと、そのくせ無闇矢鱈に溢れ出るダンディオーラ。そして、

「どうかした……いや、しなかったの?」

「ノー」

 常に全否定なところである。

 名前もノーだし、この人の親ってどんな人だったんだろうって、思う。

 ノーさんはくいっと、親指で客室の方を指す。来いってことらしい。

「でもケーキにプレート乗っけて、運ばないと──」

「ふふふ。そのくらい、私が混沌にやっておくわ!」

 混沌はやめろ。せっかく飾り付けもちゃんとしたのに。

 ……でも。

 少しだけ、引っかかることがあった。

 あのプレートの字、本当に母さんが書いたものなのだろうか?

 母さんは中二病なので、漢字とかゴテゴテに書くのが好きだ。字体も筆で書いたかのように一々ゴツい。

 なので、『もも たんじょうびおめでとう』じゃなくて、少なくとも『桃誕生日御芽出度う』あたりで書く。

 しかも、プレートに書かれた字は結構丸文字だった。

 うちの従業員は母さん以外全員男で、母さんも含めて丸文字を書く人なんていない。

 ……まあ、考えてもしょうがないけど。

 とにかく、待たせるわけにもいかないので、僕は客室の方へと走っ……て転けた。


 ○ ○ ○


 客室には、確かに見知った顔が揃っていた。

 まず、僕の主治医である近衛真理子先生と、その双子の妹の近衛瑠衣さん。瑠衣さんはこのホストクラブの常連で、いつもノーさんを侍らせている。また、自由人な真理子先生と違って、大変ネガティヴな人であり、そんなところで僕はちょっとしたシンパシーを感じていた。

 多分、母さんの古い友人というのは、真理子先生だろうと思う。病院で入院してた時から、なんか波長が合ってたし。

 次に、なんかでかい、恐竜みたいなトカゲ──ヨシくんだ。

 近衛姉妹、そしてノーさんの住んでるアパートの住人の一匹である。……うん。正直僕も意味がわからない。なんなの、これ。

 因みに、ホストクラブ『闇の国』では、動物を連れての来店は、比較的大らかに対応している。盲導犬は勿論、ちょっとした愛玩動物なら問題はない。……無いけど、流石にそのサイズは困る。あと、卵産むな。

 あとは……。

「キー!」

「うおっ!?」

 雄叫びと共に、一匹のちっちぇえ毛むくじゃらが僕の胸へと飛び込んできた。

「キー、お前も食うのか? ……てか食われるのか?」

「キー!」

 んなわけあるか、とゲシゲシ僕の顔を蹴ってくる自由人。

 この間裏山で拾った梟の雛である。名前はキー。キーと鳴くからキー。こんなんで捻りを求めてもしょうがない。

 何で僕が裏山なんかに行ったのか、ってのは実は自分でもよく分かってない。なんとなく「助けてー!」って聞こえた気がして、そこへ行ってみるとこいつがいたのだ。きっと巣から落ちたのだとは思うが探しても見つからなかったので、しょうがないから、うちで面倒を見ている。

 とんでもなく好奇心旺盛なやつで、目を離したら、厨房にいたり、店の方に顔を出してたり。なんだろう? 焼き鳥志願か何かなのだろうか?

 まあ、そんな自由なこいつだから、すぐに空も飛べるようになってこの家から出ていくことだろうと思う。

「お前も僕の誕生日を祝いに来てくれたのか?」

「キー」

 そう鳴いて、エッヘンとする。言葉がわかるとは思えないので偶然ではあると思うけど。

「……え? もしかして、キーさん?」

「ん?」

 そんなことを言ったのは、先程紹介した近衛瑠衣さんである。

 キーさん……って、そんなさん付けされる程偉いのかよ、お前。

「ふるっふー。なるほどな。確かに彼がここにいてもおかしくない」

 瑠衣さんの姉である真理子先生はそんなことを言う。

「どういうことです?」

「ふるっふー。こっちの話だよ」

「はあ?」

 まあ、そう言われて深く突っ込む気は起きない。……てか、あれ? 瑠衣さん、なんか涙ぐんでない? この自由人、てか、自由鳥? お前何かしたの?

「キー!」

「きゃっ!?」

 キーは僕から離れて、涙目の瑠衣さんを足蹴にした。それで瑠衣さんは更に泣き出す。……これが例の女泣かせってやつ?

「ふるっふー! 勿論、私の病院も動物大歓迎だからな」

「……そんな病院嫌だ」


 ○ ○ ○


 結局のところ、母さんの友達ってのはこれだけらしい。

 この子にして、この親ありとでも言うべきか。僕の友達が少ないのは母さんからの遺伝らしい。

 折角時間をかけて飾り付けたケーキに十六本の、無粋にロウソクを刺していく。

 二月四日。……これが僕の誕生日ね。

 今年も、こんなに賑やかに祝ってるのだから、去年も同じように祝ったのかもしれない。

 ……ただ、何だろう。

 先程から、何かが足り無い気がしてしょうがない。

 何か胸にぽっかりと、大きな穴が空いたような。

 ……まあ、そんなのは無いか。

 無い物ねだり、無い無いな俺がしてもしょうがない。

 店のマッチでロウソクに全て火をつける。

「フハハハハハハ! よし、準備は整ったな!! ノー! 電気を消すな! これより暗黒の儀式を始めない!」

「ノー」

「ちょっ!? 人の誕生日会をそんなよくわからんもの呼ばわりをしないでよ!!」

 ノーさんが電気を消して、あたりが暗闇に包まれる。

 見えるのは揺れるロウソクの焔くらいだ。

 そして、

「「「ハッビバースデイトゥーユー」」」

 母の友達達と、ホスト共、母さんまでもが口を揃えて歌い出す。

「「「ハッビバースデイトゥーユー」」」

 べ、別に嬉しいわけではないけれど、その、ちょっと照れる。

「「「ハッビバースデイディア柴田桃くーん」」」

「…………え?」

 ……何だろう。今、何故かちょっとだけ違和感を覚えた気がした。

 そんな戸惑う僕をおいて、歌は進んでいく。

「「「ハッビバースデイトゥーユー!! おめでとー!!」」」

 同時に拍手。

 ダメだ、とりあえず今は目の前にある火を消そう。考えるのはその後でいい。

 僕が日を消すと更に割れんばかりの拍手が響き渡る。同年代の友人こそいないものの、これはこれで幸せな気がした。

 ノーさんが、再び電気をつける。

 すると──

「はあ?」

 目の前にあるショートケーキは漫画にあるチーズのような穴が一つ空いてあり、その横には綺麗な赤色の包装紙を桃色のリボンで結んだ……プレゼントがあった。なんだこりゃ?

「誰かケーキのつまみ食いしましたか?」

「そんなのできるわけないですよ」

 瑠衣さんがそんなことを笑いながら言う。

 そうだ。その筈だ。僕はずっとケーキのそばにいた。いくら暗くなったからって気づかないはずがない。そんなこと、人間業じゃない。

 では、このプレゼントとつまみ食い跡は?

「ふるっふー! 桃ちん早くケーキ切ってくれ!」

「は、はーい!」

 疑問は残るけれど、とにかく今はケーキを切り分けるのが先だろう。僕はつまみ食い跡を避けるように包丁を入れた。


 ○ ○ ○


 包装紙を開けてみると、そこには包丁が入ってた。先の尖った出刃包丁と、逆に真っ直ぐな菜切り包丁。

 その二つにはそれぞれ『鬼殺し』なんて名前が彫られてある。流石に人の名前では無いはずだ。確か、コンビニなんかで売ってるやっすいカップ酒にそんな名前のがあった気がする。

「プレゼント……ねえ」

 状況からして、多分僕の……てか、何で僕のプレゼント貰ってんだよ!? 誕生日ってのは普通男が女に「ここまで育ててくれてありがとう」ってことで、なんかやるものだろ!? わけわかんないよ!?

  ……まあ、かと言って貰った物にケチをつけるなんことは流石にできないけどさ。

 ……さて。もうそろそろ寝よう。

 タイミングが良いのか悪いのか、明日は高校入試である。

 流石に今年は言い訳ができない。高校浪人とか、笑えない。

「おやすみ、キー」

「キー!」

 僕は部屋の電気を消して、目を閉じた。


 ○ ○ ○


 ──高校入試、最終科目が終わる。

 あー落ちたらどうしよう!?

 正直、合格できるか微妙なところだ、と思う。これまで必至にやってきて、で、今日の出来はそんなに悪くないとは思う。でもやっぱりもう少し、文系科目を取りたかった。

 ……まあ、これで落ちたんなら悔いは無い。……とか言うと、無い無いな僕的にはかなり不吉だけれど。

 僕は筆箱にシャーペンをしまい、そして消しゴムを……。

 ──ぽと。

「あっ」

 消しゴムが机から落ちて転がっていく。……不吉だ。不吉過ぎる。ちょっと、マジこれ以上は洒落にならんですけど!?

 僕は消しゴムを追って席を立つ。どちらかと言えば、まだまだ新品の四角いやつなのに、何故ここまで器用に転がれるのか。

 すると、誰かの手がそんな不吉を運ぶ僕の消しゴムを止めた。そして、

「はい」

 と言って、僕の消しゴムを渡してくれる。

「あ、ありがと……!?」

 消しゴムを拾ってくれた、相手の顔を見た瞬間何とも言えない感覚が体を巡った。


 それが僕の二度目の一目惚れだと言うことは、この時の僕には知る由も無かった。


 ──fin.




 

 

 

 

とりあえず、終了です。

ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。


で……えと、友人曰く、結構間違いがあったり、桃と姫が逆になるというふざけた箇所があったりするとのことなので、即急に直して行きたいと思います。あとは間幕をちょろちょろ入れますかね。一応最後まで読んだ方でも楽しめるようなものを書きたいとは思ってます。多分年内はそれで終わるかな?


前回も言ったと思いますが次回作は10pt溜まったらにしようとおもってます。

次は桃と姫の高校生活とか書いてみたいです。スクールライフはかなり表現が難しいらしいので、結構ブルブルです。あ、でもバトルとかあんまり無いだろうし、逆に簡単なのかな?


文章評価と総合評価が5pt入ってるのは、所謂自演乙です

なんかいろいろいじってたら入ってしまいました汗

なので画面上にて20ptになるまでということにします


9/14

間幕追加し、無理矢理ミスをなくしましたw


9/22

終幕、かなり変更しました。

てか、主人公の性格をかなり変更。赤井桃との○太くんを足して二で割ったみたいな?

今後の展開を考えてこのようにしました。


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