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第一楽章
十年前
俺は肉親を亡くした。
ボロい欠陥住宅のような俺の家は、放火なんて容易く出来た。
夕食を食べ、寝床につこうとていたら、聞きなれない悲鳴が聞こえてきた。
聞きなれない筈なのに、何故か聞いたことあるような声だった。
疑問に思い声の方に走ると
そこでは父が蚊の鳴る声で泣きながら燃えていた。
父だけではなく、家までもが燃えていた。
白く塗られた木の壁は、もはや白という概念もなくなり煤で黒くなっていた。
そして父は黒くなり
死んだ。
目の前で朽ち果てていく父親を俺は見ている事しか出来なかった。
怖くて、怖くて、
もう見ていられなくて、
そこから逃げた。
燃え盛る炎の中、必死に逃げた。
家を出て、行く当てもないまま走った。
母親は遺体で見つかった。
そして、俺は行き場所を失った。
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_……
そして今現在
肉親を殺した犯人
『魔王』を殺しに行く
あれから宿を転々とし生き延びた中で、俺の両親を殺した犯人が分かったのだ。
絶対に許さない
絶対に殺してやる__