(2)妖刀『鬼食らい』
「くっそ〜。暗いな。」
ぶつぶつ言いながらサーモグラフィ機能をonにする。
するとソコには無数の体温があった。
「あれ?」
いきなり周囲が明るくなり、ドアから人が入ってくる。
ソレと同時にクーの体が縄のようなモノで固定される。
「ようこそ。私の家へ。」
人々の中に紛れ込んでしまっている女の子が口を開く。
「ああ、どうも…。って、おい!!コレはずせよ。
ソレが客に対するもてなしかコラァ!!」
カチャという音が聞こえたと思いソッチの方を向いてみると銃が向けられていた。
しかも一人だけとかでなく、ほとんど全員。
さらに、その中にはマグナムとかリボルバーだけでなく、
ショットガン、マシンガン、グレネードランチャー、
機械相手にも良いようにスタンガンまである。
「コレは、コレは…。」
思わず絶句してしまう。
そんなに怒り狂うんだったらこんなことをするなよな。
心の中でそう思うが顔では笑みを作っている。
「では、依頼のモノを…。」
そう言って部下と思われる黒スーツの男の一人が日本刀をクーの荷物から取り、女の子に渡す。
「間違いなく、妖刀『鬼食らい』ですね。以来完了です。
ソレでは力量も見れたことですので、本題に移ります。」
「おい、何だ力量をはかったってのか?」
急に場の空気が重くなる。
クーを縛り付けていた縄が異様な音を立ててちぎれていく。
その光景にとっさに反応した部下たちが、銃を乱射する。
…が、その結果も虚しく、全てはじかれてしまう。
クソッという声とともに、グレネードランチャーが放たれる音が聞こえる。
がソレもクーの目の前で爆発する。
「この程度じゃ俺は倒せねえぜ…。」
静かに呟き、女の子の方を見る。
「…さすがですね。では改めて本題に参らして頂きます。
それはそうと、申し遅れました。私の名前は『ロビ』って言います。」
目の前ですさまじい状況に陥っているにもかかわらず、
ロビは微笑んでクーに話しかける。
「どうやら役者もそろったみたいなので、説明に参ります。」
ふとクーの横を見ると、青年らしき人間が立っていた。
「ああ、申し遅れました。そちらの方は『ギア』さんです。
とてもお強いと聞いておりますけど…」
「否定は…しない。」
ギアがそう呟いたのを聞いてロビは説明を続ける。
「今回の依頼は…コレです。」
そう言って机の上に1枚の紙を置く。
…ってかこの部屋に机があったことすら怪しい。
たとえあったとしてもさっきので木っ端みじんになっているような気が…。
そんなことを考えている間に、次の話に移る。
クーも慌ててその紙を見る。
「皆さんもご存じの通り。この依頼は指名手配ポスターにもあります。
まぁ私が出した依頼なので当然と言えば当然なんですけどね。」
ふふっと軽く笑って話を続ける。
「それで、こいつ等を壊滅させればいいのか…?」
少しいらいらしたようにギアが聞く。
「そうです。期限は3日以内。報酬は…」
そういってさっきの紙を裏返して数字を書いていく。
ソコには見たことのない程のゼロの数が並んでいた。
「ですけど、まずはこの家から脱出することが第1の条件ですね。」
そう言って右手を挙げると、いきなりロビ・その他部下が消えて煙が出る。
窓には核シェルターのようなモノで覆われる