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ep.1 —A stage and a private—  作者: 黒猫。


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3/3

part.3

翌日 早朝五時

ニューヨーク州マンハッタン地区 高層マンションのリビングにて


全面ガラス張りの窓から朝日が差し込む。

広々としたリビングの床にはレッドカーペットが敷かれ、その中央には真っ赤なレザーソファが置かれている。

そこに腰をかけ、リキュールを嗜むティアの姿があった。

彼女が飲んでいるのはティア・マリアという酒のようだ。

「あぁ、昨日は散々だったわ。何故か切ったはずの防犯装置が作動したり、銀髪の謎の男が現れたりするんだもの。さらに、目的のジェダイトを盗めなかったなんて最悪よ」

日系で黒い短髪のキースが

「そういうこともあるだろ。そんなに気を落とすなよ。また次に成功させれば問題ない」

とワーキングデスクに座り、パソコンを弄りながらティアを慰めた。

「まあ、今まで一度も失敗しなかったことの方が可笑しいのかも知れないわね」

彼女が怪盗として盗みに失敗したのは今回が初めてだった。

「そうだ、ティアの怪盗のユニフォームに仕込んでた小型カメラに映ってた、銀髪の男について調べておいた」

「あら?もうできたのね。ホント、仕事が早くて助かるわ。流石、私の相棒さん」

ワイングラスを持ちながら、キースのワークデスクに近づいて言う。

「あぁ、身元を調べるのは簡単だったからな。調べてるうちに分かったんだが、ティアが引っかかった防犯装置も奴の仕業みたいだ」

そう言うと、ティアは苦い顔をして

「最悪ね」

と呟いた。

「あの男の名前はフィディック・ハンプシャー。元刑事で今は私立探偵をしている。つい最近、ティアが忍び込んだオリヴァー美術館のオーナーに雇われて警備に加担しているらしい」

「だから仕かけられた訳ね」

なるほどと腑に落ちた顔をして言った。

「そう言えば、今日、これから映画の撮影があるんだよな?」

ティアは「そうだったわね」と言いながらワイングラスをキースのワークデスクに置き、キースの耳元に顔を近づけて

「私、昨日のことで色々と疲れちゃったから、撮影休みたいのよ。だから、監督に体調不良で休みますって連絡して欲しいの。お願い、キース? 」

と言った。

「おい、今回は主役じゃないからって副業扱いの怪盗の仕事を言い訳にサボろうとするな。はぁ、今度お忍びでお前が行きたがってた店に連れて行ってやるから、ちゃんと行ってくれ」

そう、ティアには二つの顔があるのだ。

彼女の本名はエリーナ・ヒューズ。年齢は不明。

表では演技力と持ち前の美貌で人気を博している大人気ハリウッド女優だが、裏では女怪盗 怪盗BLACK:LADYの実行役を務めている。

ティアというのはコードネームだ。

「まぁ嬉しい。楽しみにしてるわね。じゃあ、準備するから手伝って頂戴、キース」

そう言って自室へ向かった。

キース—彼にも二つの顔がある。

彼の本名はルノワール・キリッシュ。年齢は二十歳前後。

ティアの付き人をしており、洗濯や料理などの家事から身支度と言った身の回りのことまで世話を行っている。

怪盗BLACK:LADYの計画・ナビゲーション役も務め、キースというのもコードネームである。

「準備くらい自分で出来るようになってくれよ。あぁ、いちいち面倒臭いな…」

ブツブツと言いながらパソコンを閉じ、ティアの背中を追った。

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