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ep.1 —A stage and a private—  作者: 黒猫。


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2/3

part.2

美術館内には赤外線センサーが張り巡らされている。

ティアは暗視スコープ越しに見ると、それらは赤い線として浮かび上がった。

「目的の品は美術館中央付近の企画展示場にある。企画展示場に繋がってるバックヤードがあるからそこを使う。だから、まずバックヤードに向かえ」

「了解」

裏口からバックヤードまでは数十メートル離れている。

「こういう時に役に立つのよね」

ティアはそう言いながら、先程カードキーを取り出したウエストポーチからピストルらしき物を出した。

右手の黒い革手袋を外してピストルらしき物を右手に握った。

そして、バックヤードの扉に向けて打つと、フックつきのワイヤーが飛び出した。

ティアは赤外線センサーを華麗に避けながら、あっという間にバックヤードの扉前に着いた。

「ここまで順調ね。今回も楽勝じゃない?」

バックヤードの扉を開けながらティアが言った。

「だからといって油断は禁物だ。バックヤードにも赤外線センサーがあるから気をつけろ。ちなみに防犯カメラはないから安心しろ」

「分かったわ」

彼女はフックつきのワイヤーが出るピストル、ピストルガンを上手く使いながらバックヤードを突き進み、ようやく『目的の品』があるという企画展示場に着いた。

「着いたわよ」

「よし。企画展示場内の赤外線センサーを三秒後に切る。一緒に防犯カメラの映像もすり替える。じゃあ行くぞ、三、二、一!」

今まで目の前にあった無数の赤い線が一気に消えた。

そして、ティアが目的の品—世界最大のジェダイトがあるガラスケースへ余裕綽々と向かおうと、企画展示場の床に足をつけたときだった。

『ギーギー』

何かの警報音が鳴り始めたのだ。

「ちょっと、キース!!何なのよこれ!」

予想外の出来事に慌てふためく。

「もしかすると、おれが事前に調べたときはついていなかったが、急遽取りつけられた防犯装置があったのかも知れない。とりあえず、早くジェダイトを取って逃げろ、ティア」

彼女は全力で走ってガラスケースの前まで行き、ガラスケースをガバッと開けた。

すると、また警報音が鳴ったが既に他の警報音が鳴ってしまっているため、気に留めなかった。

そして、ジェダイトを手にしたとき、警備員を引き連れたアッシュグレイの男が現れた。

その男は赤い瞳に真っ白な肌を持ち、アッシュグレイの髪を三つ編みにして前に垂らしている。

歳は二十代後半、身長は百八十センチほどである。

その銀髪の男がこう言う。

「そこまでですよ、怪盗BLACK:LADY。さあ、ガラスケースにその宝石を置いて手を肩の上まで上げなさい」

怪盗BLACK:LADYとはティアの『真の正体』である。

ティアこと怪盗BLACK:LADYは「仕方ないわね」と呟きながらガラスケースにジェダイトを置き、銀髪の男達へ向き直った瞬間、

『ボムっ』

真っ白な煙幕が展示場を埋め尽くした。

ジェダイトと置くために銀髪の男達に背を向けた際に、煙玉をくすねて置いたのである。

煙幕が消えた頃には怪盗BLACK:LADYはピストルガンを使って去っていた。

「逃がしてしまいましたな、フィディック君。 ですが、宝石を守り抜いてもらえただけ良かったよ。さすが、わしが見込んで雇った探偵だけあるな」

後からやってきた美術館のオーナーが言った。

フィディックとは銀髪の男の名前である。

「お褒めいただきありがとうございます。ですが、次会う時には捕まえるつもりですよ、オーナー」

にっこりと笑ってフィディックが言いながら、『お前を監獄にぶち込んで家族の仇を打ってやる。待ってろ、怪盗BLACK:LADY。いや、エリーナ・ヒューズ』と思い浮かべた。

エリーナ・ヒューズとは怪盗BLACK:LADY、ティアの本名だ。

なぜこの男が彼女の本名を知っているのだろうか。

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