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ラブコメ、恋愛、アオハル~千本ノックシリーズ

転生したら美少女姉妹湯けむり風呂♨に浮かぶアヒルだった件

作者: なつの夕凪


 夢の中に、『登ノ丘七中 野川』と書かれた学校指定ジャージを着た自称女神が現れ、「異世界に行ってきて!」と言われた瞬間に、世界が暗転した。


 気づいたときには、俺、緒方霞はアヒルのおもちゃになって湯船に浮かんでいた。


 しかも、ここは異世界じゃない。

 自宅から徒歩5分にある――クラスメイトで親友の楓と、バイト先で一緒に働いている大学生の加恋さんが住む、望月さん()だった。



「姉さん、お風呂湧いたよ」

「ほーい、んじゃ入るか」


 ――まずい!


 加恋さんが入ってくる!?


 でも今の俺は無機物だ。

 喋れない、動けない、目も閉じられない。

 できるのは、湯船を漂うことだけ。


 お願い加恋さん、俺をお風呂から出してから入って!

 覗きみたいなことは、したくない!


 だが、願いはあっさり打ち砕かれた。

 加恋さんだけでなく、妹の楓まで一緒に入ってきたから。


 もちろん、一糸(まと)わぬ姿で……


 ◇


 身体を洗い終えた加恋さんが湯船に入ってくる。


 シャンプーやボディソープで泡泡な姉妹の破壊力はすごかった。

 すっぽんぽんの丸見えより、泡がある方がドキドキするのは、なぜだろう。


「よっと、アヒル部長ごめんね」


 部長じゃない、俺だよ加恋さんって、うわぁああーー! 

 ダンスで鍛えた形のいい白桃が目の前に! 


 ……今、ぽよん……って、柔らかいのが当たったよな!?


「あ~いい湯だねぇ。おちょこで一杯できれば最高なんだけど」

「姉さん、それ温泉でやることでしょ。よいしょっと」


 楓も湯船に入ってきた。

 幸い、俺は加恋さんの方を向いてるので楓は見えない。

 

 代わりに加恋さんが丸見えだけど……


 こんばんは……加恋さん、バイト先じゃいつも頼れる先輩だけど、今はちょっと距離が近すぎます。


「いいじゃん、家でやっても」

「ダメだよ、酔っぱらったら危ないし」


 楓、偉いなぁ。

 ちゃんと加恋さんを心配してる。


「あれ、楓また成長した?」

「最近、色々きつくて、ご飯を控えめにしてるんだけど」


 さすが加恋さん、妹の変化に気づくとは。

 

 どこが成長したかはわかる。

 重量感がすごいし、歩くたびに山が動く。


「男の子は、痩せてるより、少しふっくらしてる子の方が好きなんだって。多分、カスミンも」


「霞は関係ないから! 私たち、そんな関係じゃないし!」


 そうそう、健康的なのがいい。

 特に楓の()()()()は最強だ……本人には絶対言えないけど。


 楓と俺は中学時代からの親友だ。

 恋愛とかじゃない ……ちょっと寂しい気もする。


 ……ん? 

 お湯の流れが変わった?

 

 急に楓の方へ流されてる!?

 楓、左手でお湯をぐるぐるかき混ぜるのやめてぇーー!

 

 今度こそ見えてしまう、楓のグレートマウンテンがぁああーー!


「どうかした、姉さん?」

「何でもない。それより楓、明日、買い物に行こうよ」


 何でもなくない!

 部長のくちばしが、楓マウンテン頂上のピンクをツンツンしてるよ!


 わざとじゃないからね!? 

 アヒルボディは制御不可だから!


「いいけど……何か欲しいものがあるの?」

「スキンケアオイルと、大学のレポートで使うやつちょっと。あと、楓の服とか諸々」


「えっ、私の?」


「計ってもらった方がいいよ。ブラ、今のきついでしょ?」

「そんなのいいってば、恥ずかしいし」


 ……K点越えの計測不能でいいと思います。

 すげーデカいって、スマホにメモっとけばOKかと。


「ダメダメ。合ってないと、身体によくない」

「……そうかもだけど」


「これはお姉ちゃん命令だから、絶対ね」

「ず、ずるいよ……」


 お姉ちゃん強い。

 楓は普段、加恋さんとふたりだとこんな感じなのか……


「さからうと……お仕置きするぞ。こんなふうに」

「えっ?!」


 加恋さんの白い山が、楓の大きな白い山に襲いかかる。

 柔らかそうな山と山がぶつかり合い、潰れたり、大きく揺れたりする。


「ほれほれ、思い知ったか」

「だ、だめっ、そんなとこ触らないで、あっはっは!」


 加恋さんがくすぐるたび、楓は笑いながらバタバタ暴れて水面を叩く。


 二人とも落ち着いて、アヒル部長さんがピンチですよー!


 だが俺の声は届かない。


 俺は湯のうねりに巻き込まれた――


 そして、そのまま湯船の外に落ち、意識が暗転した。


 ◇



 ……ここは?


 目を覚ますと、美少女フィギュアやアニメグッズが飾られたオタ部屋らしきところにいた。 そして、カーペットの上で横になる俺を、緑ジャージ姿の自称女神が覗き込んでいる。


「カスミン、おかえり! わるい~異世界じゃなくて現世に送っちゃった、てへぺろん♡」

 

 うざ……この女神マジうざっ。


 異世界転生……昔はちょっと憧れてたけど、今は勘弁してほしい。

 できれば、望月家のアヒル部長として引き続きスローライフを満喫したい。


 ……が、それよりもまず


「おい野川、いい加減にしろ!」


「私は導きの女神フィールドリバーA……む? なんで本名がバレてるの? YOUはエスパーまつお?」


「ジャージに書いてあるわ! まつおって誰だ?」


「正体を隠すのに認識阻害魔法かけたはず……あ、単三電池が切れてたか、ぬかった」


「顔だけモザイクみたいのがかかってるけど」

「何それ、ヤバい人みたいやん! でも、電池じゃないとなると、魔法の杖が不調?」


「知らん、それより俺を元に戻せ!」


「あ~それ無理。お風呂覗いたり、現世で罪深いカスミンの異世界転生は決定事項だから。では、今度こそ行ってみよう! 3、2、1、Let's 異世界!」


「うわっ!?」


 女神が駄菓子屋で売ってそうな杖を振ると、俺はマーブルカラーの光に包まれ、そのまま意識が途切れた。


 お風呂を覗くことになったのは

 野川、お前のせい……だろ……



 ◇



 ……悪夢を見た気がする。

 やたら肌色な夢だったが、お年頃だからか。


 目を覚ますと、いつもの部屋。

 時刻は朝5時半。隣には妹の莉菜りなが寝ていた。

 どうやら昨夜ふたりでゲームをして、そのまま寝てしまったようだ。


「莉菜、ごめん、ちょっと離れて」

「ん、もう朝?」


「そうだけど、まだ寝てていいよ」

「わかったのだ。おやすみ()()()()()、むにゃあ」


 ……寝ぼけて言い間違えたのかと思い、その時は気にしなかった。


 だが3分後、俺はトイレで絶叫する。

 

「な、な、なんじゃこりゃーー!」


 生まれた時から股間に住む盟友アオダイショウさんが消え、胸元に二つの山ができていた。


 ……どうやらポンコツ女神が、またやらかしたらしい。


 異世界転生じゃなく、TS(肉体的異性化)させられたようだ。


 山が重い、ブラをしてないから揺れる。

 しかもむにっと柔らかい、でも強く触ると痛い。

 

 洗面所の鏡に自分を映す。

 そこにいたのは、左目じりに涙ボクロがある少女――って俺、だよね。


 こうして、緒方霞(おとこのこ)は、緒方霞(おんなのこ)として現世を生きていくことになった。

 

 どうする俺……いや、私?


 今日もいつも通り学校があるんだけど……


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― 新着の感想 ―
アヒルのおもちゃ。 目が閉じられません。 うらやましいかぎりです。
 部長の波乗りツンツンキスあダーック!
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