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36 事件は会議室で起こってるんだって、それでいいのかよ

 マーロン大佐と二階の大会議室へ行ってみると、すでにほかのメンバーはそろっていた。

 国際会議などで使うような縦長たてながのロの字に組まれたテーブルに、越冬隊と救助隊が左右に分かれて座っている。

 正面は司会席だろうが、ストローハット教授と、当然のような顔でシャロンが並んでいた。

 しかも、おれたちが入って行くと、『早く座ってちょうだい』と言う。

 本来なら、越冬隊の代表の隣りに座るのは、救助隊隊長のおれじゃないのか。

 そうは思ったものの、ノープランで司会席に座っても、仕切りができなければ意味がない。おれはグッとこらえて末席まっせきに座った。

 ストローハット教授はだいぶ持ちなおしたようで、コールドスリープから目醒めざめたメンバーを紹介してくれた。

 最初に科学者二人。

 フォード・セダン准教授じゅんきょうじゅは、アメリカの頑固親爺がんこおやじという風貌ふうぼうで、髪の毛はいわゆる赤毛というやつだ。ちなみに、赤毛は頑固というのは迷信らしい。専門の星間歴史学について聞かれると、『凡人ぼんじんにはわかるまい』との返答。なんじゃ、そりゃ。

 モーエー・ヤン研究員ポスドクはアジア系の三十代ぐらいの男で、専門の超時空物理学については『日本のドクター古井戸、とても尊敬、してます。彼こそ、天才です』とのこと。やはり、変わり者同士どうしは気が合うのだろう。

 次に冒険家二人。

 シャロンの事前の説明でコレモ・トトカイナ氏が魚類系とは聞いていたが、本人を見てビックリした。普通の人間の頭の部分に金魚鉢きんぎょばちが乗っているのかと思ったのだ。人間の頭部に当たるところにある透明な球体の中で泳いでいる赤い出目金でめきんのような魚が本人で、体の部分は乗り物兼用のロボットらしい。

 最後は、宇宙の渡り鳥こと鳥人ちょうじんヤー・クルリンパ氏。身長は小柄こがらな地球人ぐらい。顔はオカメインコにていて、灰色の羽毛うもうおおわれた顔面のほほの部分だけオレンジ色だ。黒くて丸い目は地球人より両目の間隔かんかくがやや離れており、クチバシはいめの灰色で上の方がカギ状に下に曲がっている。特徴的なのは頭頂部の長い羽根はねで、後ろに向かって伸びている先がクルリンと丸まっており、ちょっと可愛かわいらしい。地球の鳥と違って、背中のつばさとは別にあしと同じような形の短い手がある。

 話し好きのようで、頼まれもしないのに『あっしはいろんな惑星ほしを見て来たでやんす』とペラペラと自分の冒険談ぼうけんだんを話し、司会役のストローハット教授から『そのお話は、今度ゆっくり』とめられた。

 ちょっと気になったのは、隣りのマーロン大佐が彼がしゃべっている間中あいだじゅう、ずっと首をかしげていたことだ。

 次にストローハット教授は、改めてシャロンに救助隊のメンバーを紹介するよう求めた。

『あたしはダヴィード博士の従妹いとこのシャロンよ。自分で言うのもなんだけど、語学と記憶の天才で、趣味は格闘技かくとうぎで相手を倒すこと。じゃあ、あとは順に自己紹介してね』

 おいおい、丸投げかよ。

 隣りに座っている三角形の藁帽子わらぼうしかぶったドクター三角は、分厚ぶあつくちびるゆがめ、『ぼくが三角呉左衛門みすみくれざえもんだ』とだけ言ってだまってしまった。

 おれはあわてて『四処よんどころ博士の弟子でしで、ご遺体いたいの第一発見者です』と補足した。

 越冬隊のメンバーから、ヒソヒソと弟子はいないと聞いていたのにという声が聞こえたが、それにもドクター三角は反論しない。おれも面倒だから、それ以上の説明はめた。

 次に、動きにくいからとサンタスーツを脱いでいたプライデーゼットが、『わたしはロボット』と言って少しを置き、『って、見ればわかるがな。名前はプライデーZって言いまんねん。Zには特に意味はないねん、知らんけど。ほな、次行こか』とふざけらしたが、見ているこっちが恥ずかしくなるほど全員シーンとしている。

 おれは思わず、『あ、こう見えて、結構優秀なロボットなんですよ』とフォローした。

 おれの隣りで腕組みして聞いていたマーロン大佐は『いちいち気にするな』とささやくと、声を張った。

『われはクリキントン帝国のマーロン大佐である。諸君の中には、何故なぜ部外者であるはずのわれがここにるのか、疑問に思っている者もいるだろう。よって、えて言わせてもらおう。われは部外者ではない。むしろ、当事者だ。何故なら、この惑星四一二六号、おぬしらの言うゴエイジャーは、が帝国の核心的利益であるからだ』

 再び室内がシーンとなったが、さっきよりえとしている。

 ところが驚いたことに、マーロン大佐は声を上げて笑った。

『と、いうのが建前たてまえだ。無論むろん、我が帝国もそこまで非常識ではない。この惑星に武力侵攻ぶりょくしんこうなどするつもりはないから、安心してくれ。もっとも、強い関心があることも事実だ。近いうちに惑星連合と話し合うことになろう。が、今はただのオブザーバーだ。気にせず、話を進めてくれ』

 気にするよう、と思ったが、おれの順番だ。

『えっと、おれは中野伸也なかのしんや……』

 自分をどう説明するか考えていなかったので、そこでまってしまった。

 と、シャロンが『もういいわ』とさえぎった。なんだよもうと思ったが、ちょっと助かった。

『改めてあたしが調べたことを説明するわ……』


 ……通信室は完全な密室よ。通信機の電源はオンのままで、通信記録の最後は惑星連合の宇宙局だった。つまり、宇宙局が受信した「……十人いる!」というメッセージを送ったは四処博士に間違いないわね。

 おそらく、その直後に殺されたはず。凶器きょうき氷柱つららよ。

 ちょっとわからないのは、普通は氷を凶器にする場合、けて水になるから証拠を隠滅いんめつできるんだけど、部屋の暖房が切ってあったからそのまま残ってたことよ。

 これが意図いとしたことなのか、どうか。

 そのへんはわからないんだけど、わかってることもあるわ……。


『……それは、犯人は、この会議室の中にいる、ということよ!』

 ホントにそうなのかよ~。

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― 新着の感想 ―
自己紹介の時に自分の名前を言ったあとに、少し間を置く人って少なからず入るじゃないですか。 そんな時、司会者の人から「もういい」って言われると悲しくなります(;''∀'') シャロンちゃん本当に中野くん…
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