第6話 いきなり王様に紹介されて緊張したけど、これは私の新しい始まりです
透き通るような青空の下、王宮の高い石造りの門がゆっくりと開かれた。
ルキは初めての異国のドレスに身を包み、少しぎこちない歩調でその重厚な敷居を跨いだ。
胸元の締め付けや裾の重さに戸惑いながらも、隣に立つノイル皇太子の優しい手が彼女の手を包む。
「大丈夫、ルキ。君らしくいればいいんだよ」とささやく声に、ルキはほっと息を吐いた。
広間に足を踏み入れると、煌びやかなシャンデリアが天井から輝きを放ち、金と銀が織りなす装飾が彼女たちを迎えた。
そこには、威厳と温かみを湛えたアルヴィナ王国の王、エドガー・アルヴィナが静かに腰を据えていた。
「ルキ殿、ようこそ我が国へ」
王の落ち着いた声が大広間を包む。
ルキは緊張で心臓が高鳴るのを感じながらも、深く頭を下げた。
「はじめまして。望月ルキと申します。まだまだ未熟者ですが、国のために力を尽くします」
ノイルは自信に満ちた声で続けた。
「陛下、彼女は追放された身ながら、その力は確かなものです。エルディン大臣の指導のもと、これからさらに力を磨いていくでしょう」
王は柔らかな笑みを浮かべ、周囲を見渡した後、穏やかに頷く。
「それは心強い。エルディン大臣の助言も受け入れ、この国の未来を共に歩んでいくことを期待しよう」
ルキはその言葉に心の底から勇気が湧き上がった。
(これが、私の新しい始まり――)
広間の隅では、祝福の眼差しの中に、わずかな嫉妬や警戒も混じっているのを感じ取った。
すると、数人の廷臣が笑みを浮かべて近づいてきた。
「ルキ殿、我らはこの国の未来を担う者として、君の力を期待している」
「共に手を取り合い、国を支えていこうではないか」
ルキは微笑みつつも、その目は鋭く相手を見据えた。
「ありがとうございます。私はこの国のために全力を尽くします。しかし、決して利用されることはありません」
一人の大臣がやわらかな笑みを返し、
「その意気だ。真の信頼を築いていこう」
ノイルが再びルキの手を握り、力強く言った。
「これからの道は険しいが、共に歩もう」
ルキは決意の眼差しで頷いた。
「はい、よろしくお願いします!」
その日、ルキの新たな物語は動き出したのだった。