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183  作者: Nora_
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「いたた、なんでだろう……」


 背中が痛い、動く度に痛くてやっていられない。

 なにが原因か分かっていないからどうしようもない。

 蕾と変なことをしたとかそういうことでもないしな……。


「歳かもな」

「そうかも、私ももう少しで二十歳になりますし」

「まだまだ先だがな」


 よし、寝ている間にベッドから落下したということにしよう。

 それなら……いや、それなら床とキスをする羽目になるよね。

 じゃあなんだ、分からないからこその気持ち悪さがある。


「痛いから蕾が教室まで運んでよ」

「別に構わないが」

「冗談だよ、蕾はあれから私に甘いね」


 体育もないから教室で大人しくしていることにしよう。

 学校が終わったら寄り道をしないで家に帰ってご飯を作る、その後ご飯を食べたら温かいお風呂に入ってすぐに寝るのだ。


「愛花、その前にすることがあるだろう?」

「すること? 今日もお昼で終わりだから解散まで集中するだけだけど」

「違うだろう、私達の関係は変わったのだ」

「なるほどねえ、学校なのにやらしい女の子ですわ」


 実はもう初めてというわけではない。

 あ、これか! 彼女の方がちょっと背が高いから痛んでいるのか!


「じゃない! しているときにこっちを蕾が強く抱きしめるからだ!」

「あ、それかっ」

「蕾のせいじゃん……」


 緊張しているのかどうかは知らないけど原因が分かってすっきりと……できていないよ。

 いやまさかキスが原因だったなんて……。


「しかもいままで気づかないとかやばいじゃん私も……」

「それだけ効力があるということだろう」

「しかも学校でやっているし……」

「はは、今更だな」


 抱きしめたときみたいに私から襲ったというわけではない。

 ただ、休み時間になる度に教室から出ることが増えて、ふたりきりになることが増えて彼女が我慢しきれなくなったというのが実際のところだ。

 それからはもう……ね、なんかいままでの全部を解放するかのようにね。


「こんなの広人と広木には見せられないよ」

「元々見せる趣味なんかない、私達だけが知っていればいい」

「まあ、確かにそうか、でもさー……」

「なんだ?」

「なんかこういうことをした後に弟ふたりといると申し訳ない感じが……」


 ちゃんとやっているのとか言っても説得力がない。

 まあでもまだいい点は自分から求めているわけではないということだ。

 求めるようになってしまったら終わってしまう、堂々といられなくなる。


「いいだろう、それとこれとは別だ」

「そうなのかねえ」

「そうだ、だから心配するな」


 積極的にしてきている彼女が「確かに」なんて言うわけがないか。

 いいや、早く教室に戻ろう。

 結局こうされると分かっているのにふたりきりになってしまっている時点で説得力はないのだから。

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