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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

原作や原案ありの小説

死守の受諾

作者: 本羽 香那


 中里裕司は、風祭一家の幹部であり、初代総長である風祭源治の腹心だった。彼は総長が若頭である時からの付き添いであり、総長の結婚から娘である洋子の出産と、総長の様々な出来後に立ち会ってきた。総長が新たな仁侠一家を立ち上げると言った時でも、彼はそのまま付き添った。寧ろ、その強い仁義にますます惹かれるばかりであった。

 

 風祭一家は弱小ではありながらも、しっかりと仁侠一家として確立した時に、最悪な事態が起こってしまった。それは、関東炎龍会がここの縄張りを攻めてきたのである。むこうは大量の銃を持っており、乗っ取る気満々であった。

 もしドンパチが始まったらただ事で済むわけはないのは目に見えていた。そのため、総長は彼らと決起することが簡単には出来ないようだった。

 そんな時、若頭である洋子が着ていた一家の半纏を脱ぎ、背中一面に彫られた枝垂れ桜の弁財天を皆の前にさらけ出した。


「オヤッさん……いいや…父さん堅気衆はあたし等が絶対守る!それに…あたしは父さんの組に入った時から決めてたよ……あたしの全てを父さんに預けるって!だから父さんも信じてよ!あたし等を!」


 

 その姿はまるで昔の総長を見ているかのような言い振りだった。昔から彼女は女ではなく、漢として育てられてきたものの、ここまで成長していたとは驚くばかりであった。総長も目を見張りながらも、先程の言葉を撤回して、力強く彼らに命じた。


「洋子!裕司!一家の仕切りはお前達二人に任せる!奴さんにゃあ俺一人で掛け合ってみるよ……俺に万が一の事があったとしても二人は一家の再興だけを考えてくれ!」


 総長の苦渋の決断に、彼は胸苦しくなるものの、名前を挙げて任されたことには喜びを覚えた。それは信頼されている証に他ならないからだ。正直この決起の勝利の見込みは薄いが、その総長の仁侠心は、やはり変わらないものだと実感する。

 総長に何かあるとは考えたくはないが、何があってもこの風祭一家を守り続けようと彼は固く決意した。


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― 新着の感想 ―
[一言] これぞ仁義ですね( ˘ω˘ )
[良い点] 最大のピンチに陥った状況の中で、勝利の見込みは薄いながらも、総長に付き従って、周囲の人々を守り抜こうとする裕司の気持ちがとても印象的です。 また、洋子が決意を語る場面も、鬼気迫る様子が伝…
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