推しが弁当を作ってきたんだが、どうすればいいんだ!?
「お弁当ですか……ッ!? え、何で?!」
驚いた彼女が俺に弁当を渡すなんて、いや推しが弁当を俺に渡すなんて……俺の人生どうかしてんだろ……。そんなことを思っていると、宝条は小声で俺に呟いた。
「神島くんは私のマネージャーだから健康面ではきちっとしてほしいので」
「あ、ありがとう」
頬を赤く染めながら言う彼女。そんな宝条を見ていた俺も頬を赤くしながらも、彼女から手渡された弁当を受け取った。
「神島くんはどこで食べるの?」
「いや俺はそのー」
言えねぇ、今まで一人で目立ちにくい場所でご飯食べてました、て言えねぇ。俺が言葉を詰まらせていると、後方から聞き覚えのある声が聞こえた。
「か、神島ー、お、お昼一緒に食べない?」
そこにいたのは穂状だった。彼女はどこか恥ずかしそうな様子で居た。しかし、俺は何故穂状が自分のところに来たのか疑問に思い、辺りを見渡す。すると、こちらをからかうような目つきで見ている穂状の友達がいた。それを見た俺は、過去にそういうからかいを受けた事を思い出す。
これは俗に言う罰ゲームてやつだな。そう判断した俺はある手段に出た。
「ねぇ、宝条さん、俺穂状と一緒にお昼食べるんだけど一緒に食べない?」
「わ、私ですか?」
「ダメか?」
「い、いえ」
宝条とも一緒に食べることにした俺は、穂状の方へ視線を向ける。すると、何故か彼女はムクーッと頬を膨らませていた。いやなんでそんな表情になんだよ。
「ど、どうした?」
「知らないんだ!」
俺はわけもわからないまま、宝条達と教室を出た。
※
教室を出た俺たちは、人があまり来ないで有名な学校の屋上へ行った。そして、俺と宝条と穂状はそこで弁当を食べることにした。もちろんのこと俺はベンチの隅で。宝条からもらった弁当箱を開けた。
中身はとても健康的なもので、ヘルシーな食材が使われており、色とりどりとした弁当だった。
それを見た俺は思わず「すげぇ」と呟いてしまった。すると、それを聞いていたのか、さっきまで宝条と話していた穂状が俺の持っていた弁当箱を見る。
「すごっ! これ神島が作ったの!?」
彼女は俺が持っていた弁当箱に、興味深々な様子で居た。そんな様子を見た俺は咄嗟に、宝条の方へ視線を送る。すると、宝条はコクリと頷いた。彼女が伝えたい意味を察した俺は、
「まぁな、たまにはパン以外にも他のもの食べないといけないと思ってな」
「へぇー、神島て料理出来るんだー。なんか意外」
「ま、まぁな! 俺くらいになると一流シェフ並に料理が上手いからな!」
それを言った俺に二つの視線が向けられる。穂状はこちらを怪しむような目で。一方の宝条は調子に乗るな、と言わんばかりの目で見てきていた。すいません、調子乗ってました。
そして、俺は直ぐに宝条が作ってくれた弁当をたいらげた。正直、めちゃくちゃ美味しかった、店に出せるくらい。そんな俺の様子を見た宝条はホッと胸をなで下ろしていた。
三人が弁当を食べ終えると、穂状はベンチから立ち上がると、俺達に振り向く。
「んじゃ、私先に行ってるね!」
彼女は俺達に手を振りながら、その場から立ち去った。こうして宝条と俺の二人だけとなった空気の中、彼女は口を開いた。
「お弁当どうでしたか?」
「めちゃくちゃ美味しかったです」
「……なら良かった」
俺は空になった弁当箱を宝条に返すと、彼女は立ち上がった。そして、俺の方へ体を向けた。
「今日の放課後、時間ある?」
「いやー、俺実は推しのライブ情報収集があってあまり暇じゃないんだ〜」
俺がわざとらしく言うと、彼女はこちらを睨みながら、
「貴方の推しアイドルのお願いでも聞けない?」
「わ、分かった」
ここまで読んでくださりありがとうございます!
明日も一本だけ投稿したいと思います(そろそろストックがなくなりそうなので……頑張って作らないとね!)
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