推しアイドルの殺気のある目線が凄いんだが、いったいどうすれば良いんだ!?
屋上へ続く階段を上っていき、俺は屋上の扉を開けた。まず視界に入ってきたのは、青で澄み切った空と、太陽の眩しい日差し、そして、目の前にはベンチで弁当を食べる準備をしている穂状と宝条がいた。
「神島も早く〜!」
「……おうよー」
※
「神島はさ! 週末何すんの?」
宝条から貰った弁当を食べていた俺に、穂状はそう言った。
「まず土曜日はネッ友の人と狩りゲーをしてそれで一日を潰すだろ? 日曜日は仮面アイドルの新着情報がでてないかチェックする……あとは暇だな」
「じゃ、じゃあさ、その暇な時間……わたしとデートしよ?」
「——ッ、マジ?」
「マジだよ! だって私たち疑似カップルだよ?!」
彼女は目をキラキラとさせながら、弁当を食っている俺にグイグイと接近してくる。
「やめろ! てか疑似カップルてなんだよ! あんまそういうこと言うと……」
やばい、俺の隣にいる宝条の殺気の目線が凄い、俺死ぬかも……。
「そういえば日曜日は仮面アイドルの水着大会がありますよ? 機密情報ですけど」
宝条は満面の笑みで言うと、俺はつい「マジで?!」と言ってしまった。そんな俺の様子を見た穂状はプクーとフグのように頬を膨らませると、
「神島は私なんかより仮面アイドルの水着大会が良いんだ……私だって水着くらい神島になら見せるし」
穂状はボソッとそう言った。
「じゃあ俺は仮面アイドルの水着大会にでも見に行こうかな〜? だって俺ファンだし? じゃあ穂状も一緒に行かね?」
「神島、もしかして彼女いたことない?」
「ないけど……喧嘩売ってんのか」
「じゃあそれなら、穂状さん、一緒に水着買いに行きませんか?」
「えぇマジ? うぅん、わ、分かった……」
照れた様子でそう言う穂状。そんな彼女はギロッと俺の方へ視線を向けた。そして、笑いながら、
「そうだなら、神島もせっかくだから水着買いに行こうよ」
「え? 俺? 俺はァ良いよ。日焼けしたくないし?」
「女子か!」
穂状と俺がゴタゴタと言っていると、宝条はニヤリと笑う。そんな彼女の不敵な笑みに俺は何故か冷や汗をかいた。
「翠星にだけ私達の水着姿を見せるのもアレですから、翠星も水着を買いませんか?」
「ウソォン」




