幼馴染の引いたお題に驚きを隠しきれないんだが、いったいどうすれば良いんだ!?
「よっしゃあァァ! リア充に勝ったぞぉ!」
「ハァハァ、神島……負けたよ」
角崎を下ろした神上は俺の方へ来て、そう言った。
「か、神島……は、恥ずかしい」
背中に背負っていた穂状を見ると、彼女は頬を真っ赤に染めていた。それを見た俺は慌てて彼女を下ろした。
『さてさて! 今回第一位になった御二方はどんなお題を引かれたんでしょうか?!』
そう言って、俺にマイクが手渡された。
あ……思い出した、たしか、一位だったやつはお題を公表だったけか。
それを思い出した俺は穂状の方にマイクを渡した。すると、彼女はめちゃくちゃ顔を真っ赤にしながら、マイクを受け取った。
「わ、私が、引いたお題は」
何故か俺は息を呑んだ。
「『ずっと側にいて欲しい人』……です……」
それを聞いた俺は思わず「ッ!?」と言葉も出ない状況になり、理解の追いつかないことになった。
そんな俺を置いて周りからは拍手と歓声が上がった。
※
まぁその後のことはよく覚えてない、ただ唯一覚えていることは、最後の選抜リレーで優勢だった赤団が最後の最後で神上に追い抜かれ、結果的に青団が優勝したことだ。
そしてようやく状況が整理できた時は、もう体育祭は終わっていた。
「……」
無言のまま俺が自転車を押して帰っている時だった。突然後ろから何かが俺の背中に当たった。
後ろへ振り向くと、そこに居たのは頬を赤く染めた穂状がいた。
「神島……帰るなら私も誘ってよ」
「……スマン」
夕焼けが見えるオレンジ色の空の下で、俺と彼女は沈黙のまま歩みを進めていた。何かを言おうと俺が言葉を探していた時だった。
「ねぇ神島」
「?」
突然、穂状が立ち止まった。そして、穂状は何かを決めたかのように深呼吸をすると、
「私、私は神島のことが好き。答えはまだ聞かないけど……そのかわり、私が神島のことが好きってことだけ覚えておいて」
まただ、また、俺の頭がおかしくなった。
「おう、分かった」




