俺の止まっていた青春を動かしてくれた幼馴染に
「んで、神島の本音て何? 意味わかんないこと言ったら帰るから」
こちらを鋭くそして強く睨む穂状に、俺は口を開いた。
「……俺はいつもお前に助けられてきたよ、いつもお前は俺に話しかけてきて俺の退屈だった青春にいつも花を飾ってくれた。過去の呪縛の鎖を一本一本解いてくれたのは穂状、お前だった」
「……そうやって御託を並べて私が許すとでも? 結局神島は私に何が言いたい——」
言わせてたまるか、彼女の次の言葉なんか分かりきってる、だから俺はそれより先回りにして先に言ってやる。
「——だから俺の青春に! お前が必要なんだ!」
「——ッ!」
「俺はお前が思ってるより弱いんだ。弱すぎて俺は中学の頃不登校にさえなった。周りからの耳が痛くなるほどの俺を馬鹿にする声に俺は負けたんだ。中学の時俺の青春は汚れ鎖で縛られ止まったんだ。でも、高校に入って穂状と出会って、関わっているうちに俺の汚れ動かなくなった青春はまた動き始めたんだ。これは宝条でも誰でもない、穂状、君が最初に動かしてくれたんだ。だから俺の青春に穂状が必要なんだ。俺の恩人としてこれから俺と関わり続けてくれ」
「……ズルい」
「——ッ!」
穂状は目に大粒の涙を浮かべながら、俺に表情を見せずまま、しゃくり上げた声で言葉を続けてくれた。
「ズルい……ズルいよ……そういうの、ホントにズルいよ。そんなこと言われたら、許せないものも許したくなるじゃん! ズルいズルいよ」
「穂状……」
「近づかないで! もう私には何をどう判断したら良いか分からないの! だからしばらく放っておいて!」
彼女はそう言い残すと、溢れてくる涙を擦りながらその場を去っていった。これで本当の終わりだな、でも言えることは全部言えた、あとの決断をするのは穂状だ、ま、言えること言えただけでそれだけで結果オーライだな。




