クラスのマドンナがダンスを人並み以上に踊ってるんだが、いったいどうすれば良いんだ!?
自分の種目が来るまで暇つぶしをしていて分かったことがある、それは暇つぶしをしていても暇なことである。矛盾している、暇つぶしに散歩しているのに、それでも暇だ。
ちなみに体育祭の団で何団が今勝っているか教えよう。そう赤団だ、赤団は黄団、青団、紫団を圧倒的に越している。ふふふははは! 圧倒的じゃないか! 我が軍は! (神島翠星は赤団です)、とは言っても、青団だけ怪しい、何故かって? 青団にはあのチート野郎こと「神上」がいるからだ、アイツの戦績結果次第で状況は一気に変わる。
『次の種目は、一年生によるステップアップダンスです』
「だ、ダンス……ということは宝条がでるのか」
俺が内心不安になっていると、聞き慣れたあの曲が流れる。「君とあの空」か! くぅぅ! これを選んだ人を分かってんじゃねぇか! 仮面アイドルと言ったら! この曲だよなぁ!
そう思いながら、舞台に入場してきた女子達は、流れている曲に合わせ、踊っている。
自分が言うのはあれだが、ある一人を除けば全員人並みに出来ている。が、そんな中、一番輝いている者がいた。そう宝条菫だ、彼女はプロアイドル、だからどんな状況であってもプロの意識をはずさない、だからこうも輝いている。
だから不安なのだ、彼女が輝きすぎているのが。学校のヤツらには宝条菫がかの有名な仮面アイドルのリーダー「スミスミ」であることを知らない。噂では「宝条菫が仮面アイドルの一人」というのはちょっとは耳にしたことはあるが、その噂自体もあまり知られていない。だからこそ心配なのだ。
て言っても時は過ぎるのは早い、3分もすれば曲は終わる。特に大きな事は起きないまま、ダンスの種目は終わった。
それから俺は散歩しながら、午前中にある種目を全てサボって終わらせた。
『これから昼休みの時間に入ります。生徒の皆さんは各自で昼食をとってください』
そういう放送が入り、俺は真っ先に校舎裏に向かっていった。
「……」
校舎裏に着いて10分ほどが経過した。やっぱり来ないか……まぁそりゃそうだよな、もし俺が穂状だったら来ないしな……もうこれからはアイツが関わってこない生活になるのか、なんか寂しいな、でもこれは俺がやってしまったことだ。
「……」
覚悟を決めた俺がその場から離れようと歩みを進める。
「ちょっと、こんなに可愛い幼馴染を置いてどこに行くつもり?」
「——ッ!」
俺は咄嗟に後ろへ振り向いた。
「穂状……」