カスミさんとズッ友になったんだが、どうすれば良いんだ!?
「お姉さん、今一人?」
「わ、わたしゅでしゅか!?」
「わたしゅ? うんまぁ、お姉さんですよ。ちょっと聞きたいことがあってよ」
大柄の男はサングラス越しでも伝わる、こちらを威嚇するような目つきで私を見てくる。
私はソワソワしながら辺りを見渡す、だが、周りにいる誰もが私とこの男の人を見て見ぬふりをしている。
そ、そうだ! わ、私がどうにかすれば。
「あ、あ、あ」
出そうにもでない声に私は絶望した。そして、大柄の男はその大きな手を私に向ける。その手はとても大きく巨大でとても怖い。
「おい、アンタ」
「あぁん?」
「——ッ!」
「その子は俺の彼女だ、指一本でも触れるんじゃねぇ」
そう言って私と男の元に現れたのは、男を強く睨みつけ、その大柄の男の体を私から押し遠のける神島くんだった。
「この子に話があるなら俺も聞くから、そんなに彼女に詰め寄らないでくれないか? この子怯えてたぞ」
※
数分前。
用を足した俺がトイレから出ると、なんということでしょう! カスミさんが怯えた様子で見知らぬ大柄の男に絡まれてるではありませんか! ……面倒な事になったな、前は案外細い人間でなんなく撃退できたけど……いやどうこう考えてる時間はねぇ。
俺は内心ビクつきながらも、男とカスミさんの元に歩み寄った。できるだけ、胸を張って、堂々と歩き、強者感を滲み出せば何とかなる! と思う!
数秒後。
何とかなったァ! でもこの人超怖い! 裏社会にいる人みたいでめちゃくちゃ怖い! もし男の人が殴りかかってきたら俺死ぬな……だが、それでも、俺はカスミさんを守らなきゃいけねぇ!
さぁ来い! 覚悟は決めた! 死ぬ覚悟は出来た!
次の男の言動に鼓動を鳴らしていると、男は急に数秒前とは見違える程にニコッと笑った。
「あ、怖がらせてすいません! 私実はこういうもので……」
男はそう言うと、屈強な胸ポケットからある名刺を俺とカスミさんに見せた。
何かと思えばその名刺には、某有名プロゲーマー事務所の名前が書いてあった。
「「え?」」
俺と彼女は思わずそう言葉を揃えてしまった。
「いやー、私よく顔とかガタイの問題でよく裏社会の人と間違われるんですよね! あの話は変わるんですが、ぜひウチのプロゲーマー事務所に所属して貰えませんかね? 貴方の格闘ゲームプレイスキルがとても素晴らしくて!」
「えぇ!?」
俺が少々ホッとながらも、男の予想外の言葉に俺は驚いた。しかし、カスミさんはクスクスと笑っていた。
「わ、わたし、て、てっきり怖い人に話しかけられたと思いました。で、でも、ごめんなさい、私には大事にしている本職がありますので」
カスミさんはそう言って男に頭を下げた。
「そうですか、でもまた縁がありましたらその時はよろしくお願いします」
男は名刺だけをカスミさんと俺に渡し、ゲームセンターを去っていった。
「で、では帰りましょうか」
カスミさんはそう言うと、俺の手を引いてゲームセンターを出た。
※
「あ、あの今日は色々とありがとうございました。つ、次はゲーム友達じゃなくてリアルの友、友達になってくれませんか!?」
彼女は恥ずかしながら勢いよく言った。それを聞いた俺はやっぱり恥ずかしがり屋なんだなと実感した。
「……こちらこそ友達からお願いします。でもゲームの方でもズッ友でお願いします」
すると、彼女はサングラス越しからでも分かるほどに驚いた表情になっていた。
「はい! よろしくお願いします!」




