わ、私のめ、目の前に見知らぬ怖い男の人が居たんだけど、いったいどうしたら良いんだ!?
喫茶店でクロスハンターについて話終え、店を出る時に、また人が集まらないようにカスミさんには、サングラスとマスクを付けてもらった。
「カスミさん、まだ時間ありますか?」
「あ、あ、はい! まだじ、時間はありましゅ」
「しゅ?」
「す、すみません! き、緊張しちゃってて……」
カスミさんはニコッと照れたように笑って言った。
「それじゃ、少しカスミさんとやりたいことがあるんですよ!」
「やりたいこと?」
「ちょっと俺の得意な格闘ゲームで対戦して貰えませんかね?」
「い、良いですよ!」
※
喫茶店では話題が無さすぎて怖かったけど、なんとかゲームの好き嫌いが共通してて上手く話せてて良い感じだ。このまま、カスミさんの帰る時間まで持っていくぞ。
近場のゲームセンターに来た俺とカスミさんは、設置されたゲーム機の前の椅子に座ると、お金を入れてゲームを開始した。
「カスミさん、言っておきますが手加減は出来ませんから」
「大丈夫です、私こう見えて結構格闘ゲームの歴長いんで」
ゲームスタートという文字とともに戦闘が始まった瞬間だった。俺は安全な立ち回り方で相手の間合いに入る。
そして、棒立ちしている相手に攻撃を入れようと攻撃コマンドを打ち込む。だが、その時、目に止まらぬ動きでカウンターを受けた。
何ッ!? 今の攻撃に合わせてカウンターを入れてくるか! ならこれはどうだ!
俺は素早く反撃するためにコマンドを打ち込もうとした。が、その瞬間、相手はとてつもないスピードで攻撃を仕掛けてくる。
あまりの速さと強さに俺は動揺しながらも、対戦相手であるカスミさんの方へ視線を送る。すると、驚くべき事にカスミさんは、目をかっぴらいたまま、物凄い速さで攻撃のコマンドをカチャカチャと押していた。うん、負けるかも☆。
そして、瞬きをする間もなく俺は負けた。
『KO!!』
「はは、バケモンかよ、カスミさん上手すぎます完敗いたしました」
「え、えへへ、ありがとうございます」
「あ、ちょっとすみません、俺トイレ行ってきます」
「あ、はい、分かりました」
尿意を感じた俺はトイレへ向かった。
※
なんか初めてかも……神島あの人と一緒にいると何だか楽しい、アイドルとしての悩みが消えるみたいで楽だな。
「ちょっとそこのお姉さん?」
「ひゃ、ヒャイ!」
私が彼を待っていた時、突然、話しかけられた為ついそう声が上がってしまった。そして、声がした方へ目を向けると、そこにいたのは、黒服のデカめのサングラスをかけた、ガタイの大きい男の人が立っていた。




