アカネのマネージャーがチャラ男なんだけど、一体どうしたら良いんですか!?
「ワン・ツー、ワン・ツー」
私は今度公開する予定の新曲の曲調に合わせて、レッスン場で身体を動かしていた。そして、それと同時に私は今日の学校の帰り道で、神島くんと穂状さんが一緒に帰っているところを見てしまった。考えすぎかもしれない……でも、もし穂状さんに神島くんを取られたら……気にしすぎかな。
「スミスミ、そろそろ休憩しよ」
「そうね」
アカネからそう言われ私はレッスン場に置いていた水を飲む。
「ねぇスミスミ、どうなの? 彼とは」
「彼?」
「なぁにしらばっくれて〜、神島くんだよ神島くん!」
アカネはこちらをからかうような仕草で、私に言ってきた。
「か、神島くんとはその……」
「ははぁん、その様子じゃまだ上手くいってない感じねぇ〜」
「な、なにが?!」
私がそう言うと、彼女はニヤリと笑い私に寄りかかった。
「私知ってるよ? スミスミが神島のこと好きなこと、そして、彼が誰かに取られてしまわないか心配になっていることを」
「……」
「……図星かい! ま、しょうがないもんね、スミスミが好きになるのもわかるよ。彼顔は死んだ魚のような顔をしてるけど、中身はとても綺麗だもん」
「——ッ」
アカネの言葉を聞いていた時、脳裏に私がレッスン終わりに見た、神島くんとアカネが抱き合っていた光景を思い出す。
そんな光景を思い出した私は、片目を押え、ズルズルと壁によりかかりながらしゃがむ。
「アカネ……あなたも神島くんのことが好きなんでしょ?」
私がそう言うと、彼女は「バレちった?」とふざけた様子で言った。が、それと同時にアカネはそのふざけた様子から真剣な顔になった。
「スミスミ、そうやってずっと何かに悩んでたら、彼はいつか誰かに取られちゃうよ?」
「例えば?」
「私とかかな?」
「何言ってんだか……でも私負けないから!」
私は肩に乗りかかった重荷を取るように立ち上がって、アカネにそう言った。すると、彼女は少々驚いたような顔をしたが、そんな顔を一瞬で切り替えて、
「私こそ負けないよ? スミスミ!」
と言った。
「ねぇ話は変わるけど、見つかったの? 新しいアカネのマネージャー」
「あぁ、それなら見つかったよ、頼りになる良いマネージャーだよ。多分そろそろ来ると思う」
「アカネさん、もうそろそろで次の予定に行きますよ」
そう言って現れたのは、金髪でイケメンのチャラそうな男だった。
「え!? この人がアカネのマネージャーさん?! ちょっと! アカネ!」
私は思わず小声で彼女を呼び、小さい声でこう言った。
「あのチャラそうな人がアカネのマネージャーてホントなの?! ちゃんとした良い人なの!?」
私がそう言っていると、後ろにいた金髪の男が健やかな笑顔を見せ言った。
「あのアカネさんのことは僕に任せてください。僕はちゃんとアカネさんの目で見てもらって合格を貰ったマネージャーなんで」
「ご、合格?」
「私こう見えて人を見る目はあるから。彼は私の試験をちゃんと制覇して選ばれた男なんだよ」
「し、試験ねぇ……」
「はじめましてスミスミ、いえ宝条菫ほうじょう すみれさん、僕は北川きたがわ れん蓮と言います」




