ホラー映画を突然見ることになったんだが、どうすればいいんだ!?
「なんでこうも都合よく二枚の映画チケットがあんだよ……てか俺ホラー苦手なんだけど……ほらもっと、アイドル系とかないんすか?」
「何アイドル系て……ほら二人で楽しんできなよ!」
「えーー」
そう渋っていると、穂状は俺の制服の裾を握り、差し出されていたホラー映画のチケットを彼女は受け取った。
「ありがとうございます! 神島のお姉さん!」
「瑠衣ちゃんノリいいね! んじゃ、私は先に家に帰ってるから」
「うそーん」
いきなり俺に降り掛かってきた、ホラー映画を幼馴染の女の子と一緒に見るという試練に俺は絶望した。
※
『ここまで来れば安心だな』
『そ、そうね……ここまで来れ——』
『キャー!!』
映画の叫び声とホラー演出に怖がる様子を見せる穂状は、俺の腕にしがみつく。ふん、どんなものかと思って来たが、たかが女性が叫んでるだけじゃないか、怖くないな。
「か、神島……足めっちゃ震えてるよ……」
「ぜ、全然怖くないよ〜?」
「神島も怖いんだね……ヨシヨシ」
穂状は優しく俺の頭をヨシヨシしてきた。
「こ、怖くないし、俺怖くないもん」
それから数十分もすれば映画は終盤に差し掛かり、その物語の終盤も数分もすれば映画は終わった。




