クラスのマドンナに告白されたんだが、どうすれば良いんだ!?
俺の名前は神島翠星かみしま すいせい……なんて自己紹介してる暇なんてないか……俺は今ある男と昼休みの学校の屋上で落ち合う者だ。
そのある者とはこの学校で一番のイケメン、女たらし(偏見)の男だ。ではなんでそんな男と俺が落ち合うのか、それはさっき宝条から告白を受けたからだ。正直驚きの方が大きかったが、それよりだ、それより俺に彼女は勿体なくて、今の関係が崩れるのが正直嫌だからだ。
もし、安易に告白を承諾すれば色々な問題が生まれる。だからその承諾をする前に俺はある男と会わなければならない。
「君から呼び出すなんて、どういう風の吹き回しかな?」
「うるせ、すこし相談があるんだ。だから相談に乗ってくれないか? 神上」
俺がそう言うと、彼は少し驚いた顔をした。
「神島に悩みがあるとは思えないな」
「俺だって人間だ。ぶち〇すぞ」
「それでなに? 相談て」
「単刀直入に言うが宝条菫さんに告白された、どうすればいい」
「単刀直入すぎるな……告白されたなら神島が良いならOKすればいいんじゃないか? そこに何の問題がある?」
平然とした顔で言う神上に俺は、難しい顔をしてしまう。そんな俺の顔を見た神上は首を傾げる。
「俺に宝条菫さんは勿体ないんだ。こんなクズみたいな人間にあの高嶺の花は勿体ないから、あと今の関係を崩したくないんだ」
「なるほどね……神島が今の関係を崩したくないなら断ればいい。でもな告白を断るてことはそれなりの代償が生まれるぞ。自分で言うのもあれだけど、何回も告白された俺だから分かる。友達だった奴から告白されて、今の関係を保とうとして断ったら逆に関係が崩れる時もある。だから断るならそれなりの覚悟がいる」
神上は真剣な顔でそう言った。なるほどこれほど説得力のある言葉はなかなかないな、流石女たらし。
「でも驚いたよ、神島もそこそこモテるなんてな」
「そこそこてなんだ、俺結構モテるぞ? 特にラブコメのゲームのキャラとかにな」
「自分で言ってて辛くないのか……」
神上はこちらを悲しい目で見てくる。やめろそんな目で俺を見るな! 結構心にくるぞ。でもコイツと話していて気づいたことがあったな、神上お前は良い奴だ、ま、だからこそ俺は神上が嫌いだがな。
「ま、頑張れよ。そろそろ昼休みも終わる。俺はそろそろ帰るわ」
「あぁ、言われずとも頑張るさ」
※
そして、時は過ぎ、俺は放課後の誰もいない教室で宝条を呼び出した。
「スマンな、急に呼び出して」
「いえ、全然大丈夫です」
彼女の顔はどこか緊張しているようだった。空はオレンジ色に染まっており、夕日が教室を照らす。その光景は俺にとって見覚えがある。
「なんか懐かしいな、俺が中二の時に宝条さんに告白した時みたいだな」
「……」
彼女は俺の言葉を聞いて何か思い出したかのような顔をした。忘れていただろう、あの日俺の青春をぶち壊した事を。
「宝条さん、俺は君からの告白は嬉しいと思った。昔好きだった人に告白されたこと、今までの俺ならその告白を喜んで受けたのかもしれない。でも俺は宝条さんとの友達……いやアイドルとマネージャーとしての関係を続けて行きたい。だからこっちからもお願いがある、俺を君のマネージャーとして正式に採用してくれないか」
「それって……」
「あぁ、宝条さんは一か月前、俺にマネージャーの適性があるならマネージャーにするって言った。もう一度言う俺は宝条とのアイドルとマネージャーとしての関係を続けていきたい、自分勝手なのは分かってる、だから——」
俺は頭を下げ、言葉の続きを言おうとした時、宝条は口を開いた。
「分かりました、神島くんを正式にマネージャーとして採用します。でも一つだけ条件があります。それは私の告白は武道館ライブの時までに考えておいてください」
「わかった」
「私はその武道館ライブまでに神島くんが私の事を好きにさせるようにします。いいですね? 覚悟しておいて下さい」




