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この状況一体どうすれば良いんだ!?
俺の名前は神島翠星かみしま すいせい、今何故かクラスのマドンナでもあり、俺の推しアイドルである宝条菫ほうじょう すみれから「好き」と言われ突然抱きしめられている者だ。
過去に俺はこの宝条という女に振られたことがある、過去に振られた彼女から『好き』という言葉を聞くのはどこか思う所がある。でも、俺は宝条にまだ未練があるのだろうか……。
「……宝条さん」
「なんですか?」
彼女の声は心が安らぐように優しい。そして、宝条は抱きしめていた俺の体を離した。
「宝条さん『好き』て言う言葉は俺以外の男にしといた方がいい、世の中俺より良い男がいる、だから——」
「それでも、私は神島くんが好き。誰かに神島くんを取られたくない。だから私と……付き合ってください」
彼女の目は嘘偽りない真剣な目だった。そんな彼女の言葉に俺は答えなきゃいけない。ここで俺が「はい」と答えてしまえば何か色々な事が終わる気がする。
「すまん、ちょっと考えさせてくれ。答えは明日までに出すから」
「分かりました」




