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推しアイドルに異様に怪しまれてるのだが、どうすれば良いんだ!?
いつもの階段裏に俺を呼び出した宝条。彼女はどこか俺を怪しむような目で見てくる。そして、宝条が口を開く。
「単刀直入に聞きますが、神島くんはアカネのこと……その……好きなんですか?」
宝条の言葉に俺は思わず「は?」と呟いてしまった。しかし、彼女は本気のようで、真剣な眼差しでこちらを見ていた。
「何か勘違いしてるようだが、俺の推しはスミスミだ。アカネさんは推しじゃない、だから俺の好きな人が変わることは無い」
「それってどういう……」
「俺が好きなのは宝条さんてことだ」
「——……」
俺が言うと、何故か宝条は頬を真っ赤に染めていた。
「——ッ!?」
俺は自分の発言に動揺してしまった。そして、思わず俺は口元を手で隠した。やばい、自分でもなんでそう言ったのかも分からん……でもここは弁解しないと。
そう思いたった俺が口を開こうとした時だった。目の前にいた宝条が俺を強く抱き締めた。
「私もです、私も神島くんが好きです」




