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なんか推しアイドルの様子がおかしいのだが、どうすれば良いんだ!?

「もう大丈夫です、アカネさん」

 

「君が大丈夫でも私が大丈夫じゃない、だからいっときだけこのままにさせて」

 

 アカネさんは言うと、俺を強く抱き締め、数分間だけこの状況が続いた。

 

 ※

 

 アイドルとしてのレッスンが終わって、私が夕方頃に事務所を出ると怒鳴り声が聞こえた。何かと思って私はその方向へ体を動かした。

 

 そして、そこに居たのは神島くんとアカネが抱き合っている姿だった。それを見てしまった私は数秒間固まってしまった。

 

 この時の私は何をすればいいのか分からなかった。ただ呆然と立ちつくすことしか出来なかった。何か大切な物が盗られたような感覚だった。

 

「帰らないと……」

 

 私は無意識で一人そう呟くと、自宅へ帰った。

 

 ※

 

 俺の名前は神島翠星かみしま すいせい、もうすぐでゴールデンウィークが終わると共に、アカネさんのマネージャーとしての一週間を終える者だ。

 

 まぁもうすぐマネージャーとしての期間が終わるて言っても、アカネさんは俺をボロ雑巾のように使う。だから今俺はアカネさんが買った服が入った袋を、両手に何個も持たされている。

 

「アカネさん、俺これ以上持てないです」

 

「……んじゃ、私が半分持つ代わりに手繋ご?」

 

 アカネさんは俺に手を差し出す。が、それを見た俺は「あ、やっぱり大丈夫です、自分で持てますから」と言った。

 

 すると、アカネさんは強引に俺の持っていた袋を持った。そして、手が空いてしまった俺の手に彼女は自身の手を重ねた。

 

「君が嫌でも私は強引にするからね?」

 

「なんて野郎だ……んでどうするんですか? マネージャーは」

 

「君が良ければ私は神島くんをマネージャーにするよ? ……でも君はスミスミのマネージャーだから、私のマネージャーになる気ないでしょ?」

 

「あぁまぁそうなりますね、俺の推しはあくまでスミスミですから」

 

「……分かった、私は君をマネージャーにするのはやめる。でも、私の彼氏にさせる為に落としてみせるから」

 

 彼女はどこか気合いの入った様子で言った。そんなアカネさんの言葉に俺は「やれるもんならやってみてください」と伝えた。

 

 ※

 

 ゴールデンウィークも終わり、休みになっていた学校も再開。俺は憂鬱な気分で学校へ登校する。

 

 自分のクラスの教室に入ると、特に何ともなく、俺は自分の席に座り、荷物を机の横にかける。

 

 周りはゴールデンウィークの思い出を語っていたり、連休明けの憂鬱さに滅入っている者までいた。まぁその連休明けに滅入っている奴に俺も含まれてるんですけどね?

 

「神島ー! おっはー!」

 

 そんな俺の元に穂状が駆け寄ってくる。

 

「うす」

 

「やっぱり反応薄!」

 

「おはようございます、穂状さん」

 

「おっはー! スミミ!」

 

 いつものように挨拶を交わす宝条と穂状。

 

「おはようございます、神島くん」

 

「お、おはよう」

 

 宝条はどこかこちらを怪しむような目つきで言ってきた。

 

「ちょっと話があるので良いですか?」

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