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アカネさんとのデートめちゃくちゃ緊張するんだが、どうすれば良いんだ!?

「水族館デートすか……」

 

「水族館たしか、この街にあるでしょ? 一緒に行こうよ」

 

「あ、そういえば俺、最近買ったばかりのゲームがあるんだったー」

 

 俺は棒読みでその場から去ろうとする。が、アカネさんは立ち去ろうとする俺の腕を掴む。

 

「お願い、一緒に行こ」

 

「わ、分かりました」

 

 俺は彼女のどこか真剣な顔と雰囲気に押し負け、アカネさんの誘いに乗ってしまった。

 

 ※

 

 突然の水族館デートに緊張を隠しきれない俺に、アカネさんはその緊張をほぐすように俺の手を引いて、一緒に水族館の中を散策する。

 

「すごいよ、この魚! ジンベイザメだって!」

 

「そうすね、めちゃくちゃすげぇ……写真撮っとこ」

 

 ポケットからスマホを取りだし、写真を撮る。そんな俺の姿を見ていたアカネさんはフフっと笑っていた。

 

 その次の瞬間だった、アカネさんもスマホを取りだしたと思ったら、俺の腕を引き、俺とツーショットで写真を撮った。あまりの突然の行動に俺は戸惑いを隠しきれなかった。

 

「うん、いい感じいい感じ」

 

「い、いや、全然ダメですよ。俺の顔が作画崩壊してます」

 

 やられたら、やり返す。倍返しだ!

 

 そう心の中で思いながら、今度は俺がアカネさんの手を引いて、ツーショットで写真を撮った。

 

「あー! 私だって準備してなかったのに!」

 

「これで五分五分ですね」

 

「ブー」

 

 アカネさんは頬を膨らませ言った。なにこの可愛いフグは、やばい好きになりそうだ……神島翠星かみしま すいせい! 平静を保て!

 

「つ、次行きませんか?」

 

「神島くん、もしかして生き物好きなの?」

 

「ま、まぁ多少は……」

 

「そうなんだ〜」

 

「な、なんですか」

 

「いやー? なんでも〜?」

 

 そんな会話をしながら俺とアカネさんは、次にシーラカンスの剥製がある場所に行くことにした。

 

 まぁなんだ、何故かシーラカンスの剥製の近くに水族館の人気スポットであるジンベイザメが飼育されている場所があるため、人がアリのように多い。

 

 俺は先陣を切って進んでいると、後ろにいたアカネさんは人混みに押され、尻もちをつこうとする。が、その瞬間を見た俺は咄嗟にアカネさんの手を握る。

 

「——大丈夫ですか?」

 

「神島くん……う、うん大丈夫〜」

 

 彼女の言葉を聞いた俺は、アカネさんを自分の体の方へ寄せる。

 

「——ッ!」

 

「すいませんが、少し耐えてください、もう少しなんで」

 

「う、うん」

 

 そう言って俺がふとアカネさんの顔を見ると、彼女は何故か頬を赤くしていた。いやまてこれじゃあ傍から見たら俺達がただのカップルみたいじゃねぇか。

 

 ※

 

 何とかシーラカンスの剥製やら、深海に潜む生物やらを見た俺たちは、昼食を食べられるレストランの前に来ていた。

 

「ねぇ、神島くん、もうそろそろ昼食食べない?」

 

 そんなことを言われた俺は、ふいに腕時計を見る。時計の針はちょうど昼の12時半を指していた。

 

「仕事、て何時からでしたっけ?」

 

「うーん、たしか2時ごろ?」

 

「じゃあ食べましょう」

 

「やたー!」

 

 俺とアカネさんはそんな会話をしながら、中に入ると空いていた席に案内され、そこに座った。

 

「何にする?」

 

「俺はハンバーグにでもしようかな」

 

「んじゃ、私もそうしようかな!」

 

「う、これが「おそろっち」てやつか!」

 

「狙ってる人と食べる物を一緒にするのは当たり前の事だよ? 神島くん」

 

「策士ですか……」

 

「どうとでも言っていいよ〜」

 

 注文する物を決めた俺とアカネさんは、店員さんに注文すると、その数分で頼んでいたハンバーグが来る。

 

「うわー! 美味しそー! ……神島くん、写真撮ってよ!」

 

「わ、分かりました」

 

 俺は渋々アカネさんとハンバーグがツーショットになるように、写真を撮った。

 

「サンキュー、神島くん。お、いい感じじゃん! 流石私のマネージャー」

 

「いや俺まだマネージャーになる、てなったわけじゃ……」

 

「え、でも一週間は私のマネージャーでしょ?」

 

「あ、はいそうです」

 

 アカネさんの言葉にぐうの音も出ない俺に、彼女はハンバーグを切ると、その小さなハンバーグを箸でつまみ、それを俺に向ける。

 

「え、なんですか急に……」

 

「はいアーン」

 

「食べませんよ? そういうのは彼氏彼女がすることで……別に付き合ってないじゃないですか」

 

「むー、ケチだなぁ」

 

 アカネさんは頬を膨らませ言った。そんな彼女の扱いに困りながら、俺とアカネさんはハンバーグを食べ終えた。

 

 ※

 

 そして、食事を終えた俺とアカネさんは、一日の日程を全てこなし、仮面アイドルの事務所から二人で帰ることになった。外に出ると空はもうオレンジ色に染っていた。

 

「あー、疲れた疲れたー。神島くんも疲れたでしょ? 帰りにジュースでも奢るよ」

 

「まじですか、人の金でジュース……最高じゃないですか」

 

 俺とアカネさんがそんな会話をしていた時だった。

 

「おい、なんでスミスミのマネージャーが俺のアカネのマネージャーやってんだよ」

 

 聞き覚えのある声が聞こえ、俺は咄嗟に後ろへ振り向く。あぁ、最悪だこの状況はマズイ。

 

 振り向いた先にいたのは、アカネさんのマネージャーが居た。そして、アカネさんのマネージャーはこちらを威嚇するように、

 

「ちょっと話聞かせてくれよ」

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