アカネさんとデートすることになったんだが、どうすれば良いんだ!?
俺は突然の発言に思わず大きな声を出してしまった。まぁ当たり前のことだが、周りの視線は俺に集中する。うん、恥ずかしい!
「ちょっとアカネ、あんまり大声で言わないで、まだ公開されてない情報だから」
「あ、そうだったね、ごめんごめん」
マジか……武道館か……まだ実感が湧かないな、でもなんか自分の事のようで滅茶苦茶嬉しい。
「いつあるんですか? めちゃくちゃ行きたいんですけど……あ、でもチケットとか抽選になるよな……クソここでも運要素かよ」
一人でブツブツ呟く俺を見たアカネさんは、苦笑して言った。
「たしか11月だった気がする。まだそこらへんの細かい日程とかは決まってないけど。ま、私はその期間の間にマネージャーを見つけないとね」
「アカネ、そんなこと言ってる暇があるなら、さっさと踊りの練習するよ」
「はいよー」
宝条はいつものようなツンツンとした様子で言った。それに対し、アカネさんは笑って対応した。
さて俺は特にやる事ないから、遠目で二人の練習風景でも見とくか。
※
「あー疲れたー!」
数時間にも及ぶダンスの練習をようやく終えたアカネさんは言う。その一方で宝条は息を切らしながら、結構な汗をかいている様子。
俺はそんな二人に、数分前に買っておいたミネラルウォーター二本を渡した。
「サンキュー」
「あ、ありがとうございます……お金を払います」
宝条はそう言って、近くに置いていたバックから財布を取り出そうとする。が、それに対し俺は首を横に振った。
「お金はいらない、二人とも頑張ってたからご褒美みたいなもんだ」
「そ、そうですか……ありがとうございます。大切に飲ませていただきます」
「べ、別にそんな大切に飲まなくても良いんだぞ?」
俺が言うと、宝条は「いいえ、大切に飲ませていただきます」と言った。
※
俺の名前は神島翠星かみしま すいせい、ゴールデンウィークの存在を完全に忘れていた者だ。そして今俺はアカネさんのマネージャーとして、また朝から何かに付き合わされてる。
「今度はどこに行くんですか?」
「午後からは仕事とかレッスンがあるから、その気分を晴らすために水族館デートかな!」
「デートて……」




