アイドルのライブが楽しすぎたんだが、どうすれば良いんだ!?
「お前んとこのスミスミて言うんだっけ? ブサイクだよなぁ」
突然俺に話しかけてきたと思ったら、意味のわからんふざけたこと言うアカネさんのマネージャー。
普通の人間ならその挑発に乗るだろう、だがな、俺は中2の時に散々周りから謎の悪口を言われてきた。そんな俺が身につけたのは、最強のスルースキル。
「そすか、じゃ」
「ノリ悪、つまんなお前、流石ブサイクのマネージャーは性格もブサイクだな」
「……」
アカネさんもああいうマネージャー持って大変だな……ま、俺も言えないたちだけど……。
※
「ちょっと遅かったね」
俺がライブに戻ってくると、穂状はそう言った。
「ちょっと変なやつに絡まれてな……てかあとどれくらいでこのライブ終わるんだ?」
「この曲の後に休憩を入れてあと30分程ですよ」
「そうか……金払うから延長してくれねぇかな」
俺はそんなことを言いながらも、その後のライブをめいっぱい楽しんだ。まぁ今回のライブを一言で表すなら最高であった。
※
「いやー楽しかった楽しかった!」
「そうですね」
「だな」
俺たちがそう言ってライブハウスから出ようとした時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「スミスミとオタクくん、応援お疲れさん。ちょっと一緒に帰らない?」
そこに居たのは、さっきまでステージで踊っていた、大量の荷物を持っているアカネさんだった。
「ちょっとプレゼントの量が多すぎて、困ってたんだよねー」
彼女はそう言うと、俺の手にプレゼントが入った手提げ袋を持たせ、ライブハウスから出ていった。はぁ、これ俺荷物持ちパターンですか……。
外に出ると空は既にオレンジ色になっていた。
「アカネ、私たちに何か用があって、一緒に帰ろうて言ったんだよね。用てなに?」
俺たちが歩みを進めていると、宝条が立ち止まって口を開いた。すると、アカネさんはその言葉を待っていたように言った。
「お! 流石勘がいいね! スミスミ! そうちょっと最近悩み事があってね……」
「悩み事……私達にできることなら」
「ありがとう、スミスミ。実は……今いるマネージャーさんをやめさせたいの」




