俺の嫌いなタイプの人間に出会ったんだが、どうすれば良いんだ!?
「まず一曲目は! 「君とあの空」!」
アカネさんがそう言うと、聞きなれた音楽が流れ始める。まぁなんというか聞き慣れてるからどうも思わないが。
「神島がめちゃくちゃペンライト振ってる……」
穂状は俺の様子を見て言うと、隣にいた宝条が若干引き気味で俺を直視する。やめて、そんな目で私を見ないで!
宝条菫のソロライブ程ではないが、俺達が今いるライブハウスは冗談抜きで結構大きい、そんなライブハウスを埋め尽くす程ができる彼女のカリスマ性は最高だな。
「はい! 「君とあの空」の次は! 「青薔薇」だよ!」
その一言で、また聞きなれたメロディーが流れ始めると、アカネさんはキレッキレのダンスを披露する。そんな踊る彼女の姿を見て毎回思うことなんだが、さすがスミスミの右腕なだけあって、ルックスも才能もずば抜けている。
曲の音に乗って踊る彼女に合わせながら、俺とアカネファンはペンライトを振ったり、中には過去に俺がやったオタ芸をする人間までいた。
「スマン俺、ちょっとトイレに行ってくるわ」
俺は穂状と宝条にそう言って、トイレに向かった。
※
トイレを済ませた俺が元の場所に戻ろうとした時だった。
「お前、スミスミのマネージャー?」
突然背後から話しかけられたので、俺は声の方へ振り向く。そこに居たのは、黒のスーツを着た男がいた。
「え、まぁ、マネージャーて言われたらそうですけど、てか貴方は誰ですか?」
「あ、俺? 俺は「仮面アイドル」アカネのマネージャーだよ」
あぁ、なんか一つだけ分かったわ、コイツ俺の嫌いなタイプだわ。




