急にババ抜きすることなったんだが、どうすれば良いんだ!?
突如始まったババ抜きに巻き込まれる俺。
「んじゃ、私から!」
穂状の掛け声と同時に始まったババ抜き。
一番手は穂状だった。穂状は左隣に居る俺に体を向け、俺に手札を引いてもらう。
「ありがとな! 穂状!」
「何!?」
俺はそう言うと、穂状から貰ったカードと同じカードを中央に捨てる。
そして、順番が回り、俺が宝条の手札を引く時になった時だった。
「んじゃあ、これは妙に怪しいから、こっちにしようか」
俺がそう言って、妙に突き出たカードを選ばず端のカードを選ぼうとした時、宝条の顔が少し残念がっていた。
あれ? なんだコレ。
彼女の顔に不思議に思った俺は、変に突き出たカードに触れる。
その瞬間、残念がっていた宝条の顔が、突如として天使のように明るくなった。
か、可愛い……いいや惑わされるな! 多分宝条は顔に出るタイプの人間だ、ここは大人気ないが俺は勝負に勝ちたいんだ!
俺が思い切って端のカードに触れた時、明るくなっていた彼女の顔がまた残念がっていた。
しかし、それと同時に俺は気づいてしまった、その残念がる彼女の顔も天使のように可愛いと。
「クッソー! 俺の馬鹿野郎!」
俺は宝条のその残念がる顔に負け、妙に突き出たカードを引いてしまう。
ふ、君の勝ちだよ宝条。
彼の手札に来たのは紛れもないババだった。
こうして、順番は徐々に進んでいき、最初に一抜けしたのは宝条だった。
クッソー! こうなったらせめて二位にならなくては!
ここから俺の本気が露わになるはずだった。
しかし、ことは上手くいかず、結局最終的に残ってしまったのは俺だった。
「もうヤダ、ゲームなんて……」
完全に心が折られた俺は、完全に憔悴しょうすいし切った顔になっていた。
「神島……ババ抜き弱いんだね」
「黙れ!」
「それじゃ、もうそろそろ勉強に戻りましょうか」
「——あ、そうそう、monoも持ってきたんだよね〜」
お前はどんだけ勉強に関係ないもの持ってきてんだ。流石の宝条もそれに気づいたようで、彼女は口を開いた。
「穂状さん、遊ぶのもいいんだけど、勉強しなくて大丈夫なの?」
「ウゲッ、それは……」
「宝条さんの言う通り、ここは素直に勉強したらどうだ?」
「二人が言うなら……」
※
こうして俺達は休憩を取りつつも、勉強を続けた。そして気がつけば時間はもう夕方の6時を指していた。
「そろそろ帰るか」
「ぷはぁ! 疲れたぁ〜!」
「そうですね、私も少々疲れました。お見送りしますね」
「ありがとスミミ!」
※
宝条の家を後にした俺と穂状は、夕日に照らされながら、足並みを揃え帰っていた。
「なんか久々に勉強したから、疲れた〜。神島は今回のテスト自信ある?」
「自信ならあるな、今回のテストはな」
「お、神島にしては前向きなほうだね!」
「自信て言っても、赤点の方だがな」
「全然前向きじゃなかった!」
「まぁ安心しろ、大体の平均点くらいにおさめとくから」
俺が言うと、突然穂状はパタリと立ち止まった。俺は自然と彼女の方へ視線を向ける。
「じゃ、じゃあさ、今回のテスト、勝負しない? 私が勝ったら、また私とデートしよ」
穂状は何かをこらえるように言う。俺はそんな彼女の勝負に俺は「のった」と言った。
「約束だよ!」
「おう」
※
帰路に着いた俺はリビングでもちろんアレをした。そう狩りゲーである。
「ちょっとスイちゃん、もうすぐテストなんじゃない? 大丈夫なん?」
「た、多分大丈夫かと……」
「赤点とったらお母さんに○されるよ?」
「まぁそこらへんは何とかして乗り越える」
※
そしてテスト当日。
俺は眠い目をこすりながら、テストを受けた。




