今俺は危機的状況に陥ってるんだが、どうすれば良いんだ!?
「「「……」」」
俺の名前は神島翠星、今地獄の状況に陥っている者だ。さぁてここで問題です、この後姉がとる行動とはなんでしょうか! 一秒で考えましょう! はい、タイムアウト! 正解は。
「お母さん! スイちゃんが美少女を家に連れてきた!」
「おい、ちょっとそこのバカお姉さん、人が勘違いするようなこと言わない」
「え、じゃあこの美少女は誰なの!? 学校で影の薄そうな弟にできそうにない彼女とか!?」
俺の姉は驚きながら言うと、穂状は慌てふためきながら「か、彼女じゃ、ありません!」と姉の言葉を否定した。
「え、じゃあレンタル彼女?」
「なんでそういう考えに至るんだ……この人はただの俺の幼馴染」
「あぁ幼馴染ね〜、て、私知らないんだけど!? ……名前は?」
「す、穂状瑠衣です」
「瑠衣ちゃんね! ちょっと外で話すのもアレだからさ、家で話さない?」
姉は穂状を家へ手招く。
「姉ちゃん、もう学校に行かないと」
俺がそう言うと、姉はニヤニヤとした表情をし、
「何言ってんの? たしかスイちゃんの行ってる学校て朝の8時に始まるよね〜? まだ7時だよ〜?」
なんでこのバカ姉は俺の学校が始まる時間知ってんだよ……でもこの状況はとてもマズイ、どうせうちの姉が穂状と話したら、ありもないことを話すに決まってる、仕方ないこうなったら。
俺は恥じらいも捨て、穂状に歩みよると、彼女の両手を掴む。すると、穂状は「ヒャイ」と驚きの声を上げた。すまない穂状……こうするしかないんだ。
「穂状、俺と一緒に学校に行くぞ」
俺はまるで好きな子に告白するように言うと、何故か穂状は頬を桃色に赤らめる。なんで穂状は頬を赤らめてるんだ……やばい俺まで恥ずかしくなってきた……。
「う、うん……一緒に行こ」
「姉ちゃん、俺たち学校行くから」
俺が言うと、姉は「えぇ〜」と残念そうにする。何が『えぇ〜』だ、こちとら恥じらいを捨ててまでやってるんだぞ!
「んじゃあ、二人とも行ってらっしゃい〜」
なんとか危機的状況を脱した俺は、穂状と一緒に学校に向かうことに成功した。いやこれは成功したに値するのか?
「神島てさ、お姉さんいたんだね……」
「バカ姉だけどな」
「私お姉さんと友達になってみたいな……」
「——それだけはやめておけ」
※
朝のホームルームにて、担任の教師は全生徒が聞きたくもない単語を言葉にした。
「もうすぐで中間考査があるが、ちゃんと勉強するように」
き、来た……全学生の大嫌いな中間考査……。




