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仮面アイドルのアカネさんがめちゃくちゃ絡んでくるんだが、どうすれば良いんだ!?

「アカネ! 何でここに?!」

 

 突然現れたアカネさんに宝条は驚いた表情で言った。すると、アカネはからかいの眼差しのまま言った。

 

「私はただここを通り掛かっただけだよー? それよりー、なんだよ〜二人ともめちゃくちゃ仲良さそうじゃ〜ん。羨ましいぞー! このこのー!」

 

 アカネさんはそう言って、からかいながら宝条の頬をぷにぷにとつつく。頬をつつかれる宝条は何かを我慢するような仕草をしていた。

 

「か、からかわないでください」

 

「え〜、だってスミスミがこんなに男の子と仲良さそうにしてるの初めて見たんだもーん」

 

 アカネさんはそう言いながら、今度は俺の方へ来ると、俺の肩に腕を回し、小さい声で言ってきた。

 

「んで、どうなん? スミスミ狙ってるかんじ?」

 

「んな!」

 

 俺が咄嗟にそう反応すると、その様子が面白かったのか、アカネさんは俺の背中をバシバシと叩き「冗談だよ〜」と言った。

 

「え! もしかして本気マジなの?」

 

「い、いえ全然、てか俺と宝条さんには天と地の差があります。付き合える可能性とか0に近い」

 

「でも可能性は0じゃないんだから可能性はあるんじゃなぁい? おいどうなんだよー」

 

 アカネさんは俺にしつこく絡んでくる。そんな様子を見飽きたのか宝条が俺とアカネさんの中を割って入る。

 

「二人して何を話してるんですか?! ……もういいです、この際アカネも着いてきてもらいますから」

 

「え!? どこに連れて行ってくれるの?」

 

「来れば分かります」

 

 ※

 

 宝条とアカネさんと俺は、アクセサリー専門店に着いた。なんというべきか、俺普通に場違いじゃね?

 

「ほぉ、スミスミも、アクセサリーの良さに気づいたのかな〜? 見る目あんじゃん」

 

「……早く行きましょう」

 

 宝条がそう言うと、俺たちはアクセサリー専門店の中に入った。

 

 中はとても綺麗なアクセサリーが大量に飾られていた。

 

「すまん、俺ちょっと帰るわ。ここ俺が居ていい場所じゃねぇわ絶対。それでは健闘を祈る!」

 

 俺が早口で言って帰ろうとした時、宝条はそんな俺の首根っこを掴み、俺を止めた。

 

「ダメに決まってるでしょ」

 

「すんません」

 

 俺と宝条が顔を向かい合わせていると、アカネさんがその中にスラーっと入ってくる。

 

「ねぇ見て見て、このアクセ可愛くない〜?」

 

 そう言ってアカネさんが持ってきたのは、先程、宝条に見せてもらっていた青いサファイアのようなアクセサリーだった。

 

 それを見た俺たちはつい顔を見合せた。

 

「アカネ、それいくらだった?」

 

「えぇこれ? 結構値段張るよ? 二万円八千円くらいだったよ。私には高すぎて買えないかなー」

 

「アカネ、それ私が買うからちょうだい」

 

「えぇ……しょうがないなぁー」

 

 アカネは嫌そうにするが、渋々持っていたサファイアのようなアクセサリーを宝条に渡した。

 

「ちょっと買ってくる」

 

「ねぇねぇ、オタクくん。んでどうなん? スミスミとは」

 

「ただのアイドルとマネージャーとの仲ですよ」

 

「えぇ!? 嘘だぁ!」

 

「本当ですよ」

 

 俺とアカネさんがそんな会話をしていると、会計を済ませてきた宝条が帰ってきた。そんな彼女の右手には、プレゼントの包装がされていた。

 

「はい、アカネ」

 

「え……なにこれ? もしかして」

 

「そうです、そのもしかしてです」

 

「誕生日プレゼントてこと!?」

 

「はいそうです、少々早めですが……」

 

 

 宝条が言うと、アカネさんは目をキラキラとさせる。

 

「ありがとう! スミスミ!」

 

 アカネさんは宝条に抱きつく。そんな尊い光景に俺はつい頬を緩めてしまう。

 

 ※

 

 俺と宝条とアカネさんが外に出ると、もう空は真っ暗だった。

 

「んじゃ、私はここで。オタクくん、スミスミをよろしくね!」

 

 アカネさんはそう言うと、手を振りながら去っていった。

 

「私達も帰りますか」

 

「そうだな」


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