教科書を忘れたんだが、どうすれば良いんだ!?
「わ、私神島と隣なの?!」
「……そうだけど」
俺は少々落ち込み気味で言った、すると、穂状はなんとも言えない表情で、
「ふーん、か、神島かぁー」
「なんだよその反応、俺が隣なんだぞ? もっとほら悲しめよ」
「え、ちょ、なんで悲しむの!?」
「だって俺が中学一の時、席替えで隣になった人全員悉く泣き崩れるか、顔面蒼白になってたぞ、まるでこっちを幽霊を見るような目で見てきたし。だからてっきりお前もその部類かと思って」
「そんな酷いことしないよ?! てか神島は過去に何をやらかしたの?! 聞いててめちゃくちゃ悲しいんだけど!」
穂状が色々とツッコミを入れると、それを見ていた宝条は何故かムスッとした様子で俺を見てくる。
「ど、どうした宝条さん」
「また自分を卑下して……」
「あ、す、スマン。癖っていうか抜けなくて」
「……今回はだけは見逃してあげます。でも次からは気をつけてくださいね?」
「お、おう」
「二人って何やかんや仲がいいよね」
穂状はどこか嫉妬したような顔で言った。
俺と宝条が仲が良い? まぁ最近結構宝条とは関わるけど、未だに俺はあのトラウマを忘れられてないからな?
そんなこんなで俺の隣には穂状が座り、その彼女の前には宝条が座ることになった。うん、なんと言うべきか普通の一般生徒ならこの美人に囲まれた状況を最高と言うべきだろうが……俺にとっては少々地獄だ。
※
俺の名前は神島翠星かみしま すいせい、現在歴史の授業が始まってる最中だ。ここで学校あるあるを言っておこう、歴史とか国語の授業てめちゃくちゃ眠くなるよねだ。
そんなつまらないことを言っている場合じゃない。俺は今危機に陥っている、それは歴史の教科書を忘れてしまったことだ。
ボッチのプロとしてこれは絶対にやらかしてはいけない事だ、何故かって? それはな、教科書を借りる友達とか、見せてくれる友達がいないからだ。
でも安心してほしい、この友達のいない状況はもう俺はとっくに卒業してる。そうこの俺には隣にいる穂状がいるではないか、よしここは彼女に力添えをお願いしようか。
「なぁ穂状」
「——な、なに?」
穂状は突然の事に戸惑った表情を浮かべていた。
「俺、歴史の教科書を忘れたんだけど、見せてくれないか?」
俺は藁にもすがる思いで言うと、穂状はどこか気まづそうな顔をした。
「ご、ごめん私も忘れちゃったんだよね」
はい俺の人生オワタ。




